平成25年度 秋期 ITパスポート試験 問49 解説 ファシリティマネジメント
IT サービス提供のための IT 機器類を設置しているデータセンタにおいて, IT 機器類の冷却や電源, 建物への入退館といった物理的環境面での管理を責務とする活動として, 適切なものはどれか。
- ア アセットマネジメント
- イ インシデント管理
- ウ サービスレベル管理
- エ ファシリティマネジメント ✓ 正答
解説
物理的環境の管理というキーワードに注目する
この問題のポイントは、ITサービスを維持するために必要な「建物」「電源」「空調」「入退館」という、物理的な環境に注目することです。ITサービス管理の手法には多くの用語がありますが、これら「ハードウェアそのものや、それが設置されている場所(ファシリティ)」の維持管理を指す用語を選びます。
ファシリティマネジメントとは
ファシリティマネジメント(Facility Management)は、企業や組織が保有・利用する建物、設備、環境などの物理的な資産を、コストを抑えつつ効率的かつ安全に管理・運用する手法のことです。
データセンターは、大量のサーバーなどのIT機器が稼働する場所です。これらが故障しないように「適切な温度に冷やす(空調)」、「安定した電気を供給する(電源)」、「盗難や物理的破壊から守る(入退館管理)」といった物理的な環境を整えることは、ITサービスを止めることなく提供するための大前提となります。これらすべてがファシリティマネジメントの範疇に含まれます。
ほかの選択肢が誤りである理由
試験対策として、選択肢の用語と本来の目的を整理しておきましょう。
アのアセットマネジメントは、資産管理のことです。ITの文脈では、パソコンやソフトウェアライセンスの数、購入時期、リース期限などの情報を台帳で管理し、資産のライフサイクルを最適化することを指します。
イのインシデント管理は、システム障害やサービス利用者の問い合わせなど、日常業務を妨害する事象(インシデント)が発生した際に、可能な限り早く通常のサービス状態へ戻すための活動です。
ウのサービスレベル管理は、顧客と合意したサービス水準(SLA:サービスレベル合意書)を守るための活動です。例えば、「稼働率は99.9%以上にする」「問い合わせには24時間以内に回答する」といった目標を決め、それを達成できているか監視・改善します。
ITパスポート試験における意図
この問題は、ITサービスを支えるのは論理的なソフトウェアやプログラムだけではなく、それを物理的に支える設備(ファシリティ)の管理が欠かせないという、運用の基礎知識を問うています。
システムエンジニアやIT管理者は、サーバーの設定だけでなく、データセンターがどの程度の地震に耐えられるのか、停電時に非常用発電機がどのくらい動くのかといった、ファシリティの知識も持っておく必要があります。特に大規模なシステムになればなるほど、物理的なトラブルがサービス全体の停止に直結するため、物理環境の管理は極めて重要なスキルなのです。