平成25年度 秋期 ITパスポート試験 問63 解説 IPv6の概要
IPv6に関する記述として,適切なものはどれか。
- ア アドレス空間が128ビットの大きさをもつので,IPv4に比べて多くのアドレスを割り当てることができる。 ✓ 正答
- イ 一つのLANでIPv6とIPv4を共存させることはできない。
- ウ 有線LAN専用のプロトコルなので,無線LANで利用することはできない。
- エ 利用には通常のツイストペアケーブルではなく,光ファイバケーブルが必要である。
解説
この問題は、IPv6の最も基本的な特徴であるアドレス長を知識として持っているかを確認するものです。IPv4のビット数とIPv6のビット数を比較し、どちらがより多くのアドレスを生成できるかを判断できれば即座に正解を選べます。
IPv6の最大の利点はアドレスの枯渇対策
IPv6(Internet Protocol Version 6)が開発された最大の目的は、IPv4のネットワークアドレスが世界的に不足したことです。
IPv4は32ビットのアドレス空間を使用するため、扱えるアドレスの総数は 個(約43億個)です。インターネットの普及とIoTデバイスの増加により、この数では足りなくなりました。これに対し、IPv6はアドレス空間を128ビットに拡張しました。これにより、扱えるアドレスの総数は 個となり、理論上はほぼ無限といえるほど膨大な数のアドレスを割り当てることが可能になっています。
IPv4とIPv6をめぐる誤解を解く
選択肢の「イ」「ウ」「エ」が誤りである理由を理解することで、ネットワークの基礎知識がより強固になります。
イについて ネットワークの世界には「デュアルスタック」という技術があります。これは一つの機器やLAN環境において、IPv4とIPv6の両方のプロトコルを同時に動作させる仕組みです。したがって、共存は可能です。
ウについて IP(Internet Protocol)は、ネットワーク層のプロトコルです。これは物理的な通信媒体(有線か無線か)には依存しません。物理層が何であれ、その上位層であるネットワーク層ではIPv6を利用できます。
エについて これもウと同様に、物理的な伝送媒体(ケーブルの種類)とプロトコルは切り離して考える必要があります。光ファイバでもツイストペアケーブルでも、その上でIPv6パケットを流すことは可能です。
ネットワークエンジニアリングにおけるプロトコル階層の理解
この問題の教育的な意図は、OSI参照モデルにおける「層(レイヤ)」の概念を正しく理解させることにあります。
特に「プロトコルは物理的なケーブルや接続方法に依存しない」という点は、ITパスポートのみならず、基本情報技術者試験や実務の現場でも極めて重要な考え方です。機器を選定したりネットワーク構成を設計したりする際、物理的な「配線(物理層)」と、通信のルールである「プロトコル(ネットワーク層など)」を分けて考える癖をつけることで、トラブルシューティングの精度が大きく向上します。将来的にクラウドや仮想ネットワークを扱う際にも、この「物理と論理の分離」という視点が大きな助けとなります。