平成25年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問38 解説 プロジェクトスコープ
プロジェクトに関する変更項目a~cのうち,プロジェクト・スコープでの変更管理の対象項目だけを全て挙げたものはどれか。 a 該当プロジェクト中に発生する要件に関係する関連法規の変更 b 顧客要求事項の変更 c プロジェクトメンバの所属部署名の変更
- ア a
- イ a, b ✓ 正答
- ウ a, b, c
- エ b, c
解説
スコープ変更管理の判断基準
プロジェクト・スコープの変更管理とは、プロジェクトで「何を作るか(成果物)」や「何をするか(作業範囲)」に変更が生じた際に、それを正しくコントロールする活動です。
本問を解く際の判断基準は、その変更が「プロジェクトで実施すべき作業や成果物に影響を与えるか」という点にあります。
プロジェクト・スコープ管理の考え方
プロジェクト・スコープとは、プロジェクトを完了させるために必要な作業や成果物の範囲を指します。プロジェクトを進める中で、顧客からの要望追加や外部環境の変化により、この範囲を変更せざるを得ない場面は頻繁に発生します。
しかし、スコープを安易に変更すると、予算の超過やスケジュールの遅延、品質の低下を招く恐れがあります。そのため、スコープに関わる変更は公式な変更管理手続き(影響調査や承認プロセス)を通すことが求められます。
今回の選択肢をこの視点で分類すると以下のようになります。
aの「要件に関係する関連法規の変更」は、法的に必要な機能や制約が変わるため、成果物の仕様や追加作業に直結します。これは間違いなくスコープ管理の対象です。
bの「顧客要求事項の変更」は、まさに「何を作るか」というスコープそのものの修正です。これもスコープ管理の対象となります。
一方、cの「プロジェクトメンバの所属部署名の変更」は、チームの構成員が誰であるかという人的資源の管理に関わる話です。メンバーが所属する組織名が変わったとしても、本人がプロジェクトのために行う作業内容や成果物の範囲が変わるわけではありません。したがって、これはスコープ管理ではなく、リソース管理やコミュニケーション管理の範疇となります。
実務における変更管理の重要性
現場で「スコープの変更」と「それ以外の管理変更」を区別することは非常に重要です。もし、すべての変更を同じ優先度で扱ってしまうと、本来議論すべき「作業範囲の拡大」が見過ごされ、結果としてプロジェクトが収拾不能な状況(スコープクリープ)に陥ります。
ITパスポート試験でこの知識を問う意図は、プロジェクトマネジメントにおいて「何が管理対象であるか」という境界線を明確にする能力を養うことにあります。変更管理の対象を適切に切り分けることで、プロジェクトの遅延やコストオーバーを防ぐ、という実務的な視点を持つことが合格への近道です。