平成25年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問46 解説 ソフトウェアの品質特性
ソフトウェアの品質特性を,機能性,使用性,信頼性,移植性などに分類した場 合,機能性に該当するものはどれか。
- ア 障害発生時にデータを障害前の状態に回復できる。
- イ 仕様書どおりに操作ができ,適切な実行結果が得られる。 ✓ 正答
- ウ 他のOS環境でも稼働できる。
- エ 利用者の習熟時間が短い。
解説
ソフトウェアの品質特性に関する問題は、キーワードと各項目の定義を1対1で対応させることが正解への最短ルートです。機能性とは「そもそもそのソフトウェアが、求められた役割をきちんと果たせるか」という最も根源的な性質を指します。
ソフトウェア品質特性の分類(ISO/IEC 25010)
ソフトウェアの品質は、国際規格であるISO/IEC 25010(以前の9126)によって分類されており、ITパスポート試験では以下の特性が頻出します。
- 機能性:要求された機能が、仕様通りに提供されること。
- 信頼性:故障せず、安定して動作し続けること。
- 使用性:使いやすく、習得しやすいこと。
- 効率性:資源を無駄にせず、素早く処理できること。
- 保守性:修正や改良が容易であること。
- 移植性:異なる環境へ移行しても動作すること。
今回の問題でいえば、選択肢イの「仕様書どおりに操作ができ、適切な実行結果が得られる」というのは、ソフトウェアが本来の目的(機能)を満たしているかどうかを指しているため、これが機能性の定義に合致しています。
消去法による判断プロセス
試験本番では、選択肢を一つずつ照らし合わせることで確実な正解を導きます。
- 選択肢ア:障害発生時の回復能力は、システムの「信頼性(回復性)」に関わる項目です。「どれだけ壊れにくいか」「壊れてもすぐ直るか」という指標です。
- 選択肢ウ:OS環境の変更は、その名の通り「移植性」の代表的な項目です。特定の場所(環境)に縛られない能力です。
- 選択肢エ:習熟時間の短さは、人間にとっての使いやすさを表す「使用性」の項目です。
このように、機能性は「何ができるか(Do what)」であり、それ以外の選択肢は「どういう品質で動作するか(How to run/manage)」という観点に分類できると判断できます。
実務現場における品質の視点
この知識は、システム開発の現場で「品質要件」を定義する際に必須となります。開発の初期段階(要件定義フェーズ)において、顧客と開発側の認識のズレを防ぐために使われます。
たとえば、「このシステムは使いやすいものにしてほしい」という顧客の要望があった場合、そのままでは定義が曖昧です。このとき、品質特性の知識があれば「使用性(操作の習熟しやすさ)を重視するのか、あるいは処理速度(効率性)を優先するのか」という具体的な議論へ引き寄せることができます。
試験では「どの項目がどの品質特性に該当するか」という言葉遊びのように見えますが、実務では「何を優先して開発すべきか」という設計方針を決定するための共通言語として活用されています。この構造を理解しておくと、試験問題においても項目同士の混同を防ぐことができ、応用力がつきます。