ITパスポート試験 / 平成25年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 / 問45
certification-simodake-work

平成25年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問45 解説 BCPとデータセンタ

事業継続計画(BCP)における情報システムに関するファシリティマネジメントの 施策のうち,大地震によってデータセンタが長期間停止することを想定した施策は どれか。

  1. ア サーバを高層階に配置し,津波などの浸水からサーバを保護する。
  2. イ データセンタ内のサーバにUPSを接続する。
  3. ウ データセンタ内の電源や回線などの各種設備を二重化する。
  4. エ データの同期を定期的に行うバックアップセンタを遠隔地に配置する。 ✓ 正答

解説

この問題は、BCP(事業継続計画)の目的が「被災時でも事業を止めない、または早期に復旧させること」である点に注目して選択肢を絞り込むのが正解への近道です。データセンタが長期間停止するような大規模災害を想定する場合、同じ敷地内や近隣での対策には限界があるため、地理的な距離を確保することが唯一の解決策になります。

事業継続計画(BCP)における対策の考え方

BCPとは、災害や事故などの緊急事態が発生した際に、中核となる事業を中断させない、あるいは可能な限り早期に復旧させるための計画です。情報システムにおいては、システムが停止することで事業がどの程度影響を受けるか(目標復旧時間や許容データ損失量)を定義し、それに見合った対策を講じます。

今回の設問で重要なのは「大地震」と「長期間の停止」というキーワードです。データセンタがある地域全体が被災してしまうと、建物内の設備をどれだけ補強してもシステムを利用できません。そのため、被災の範囲を回避するために、物理的な距離をとる対策が必要になります。

なぜ他の選択肢では不十分なのか

各選択肢を検討する際は、その対策がどの程度の被害をカバーできるかを考えると判断しやすくなります。

・選択肢ア(サーバを高層階へ配置):津波や浸水という特定の災害リスクを軽減する対策です。しかし、建物そのものが地震で倒壊したり、地域一帯の電力供給が断たれたりした場合には対応できません。

・選択肢イ(UPSを接続):UPS(無停電電源装置)は、停電や瞬断から一時的にシステムを守り、安全にシャットダウンしたり発電機への切り替えを待つためのものです。数時間から数日の長期間のシステム停止には役に立ちません。

・選択肢ウ(設備の二重化):データセンタ内部の電源や通信回線を二重化することは、機器故障に対する耐性を高めます。しかし、これもデータセンタの建物自体が使用不能になるような災害には無力です。

これらに対し、正解である「遠隔地にバックアップセンタを配置する」という手法は、災害の影響を受けないエリアにシステムを移管することで、地域全体が壊滅的な打撃を受けたとしても事業を継続できる体制を実現できます。

災害対策の設計思考

この問題が問うているのは、情報システム管理者が行うリスクマネジメントの基本です。ITの世界では、対策にはコストがかかります。すべての災害に対して遠隔地バックアップを用意すれば最強ですが、コストが莫大になります。

試験では「小規模なトラブル(電源断や機器故障)」と「大規模災害(地震や洪水)」を区別して考えることが求められます。 小規模トラブルには、UPSや設備の冗長化といった建物内の対策が有効です。一方で、大規模災害には、地理的な冗長性(バックアップセンタの設置)が必須となります。問題文に「長期間停止」という極端な状況が提示された場合、真っ先に「場所を分ける」という発想に至ることが、実務でも試験でも重要な判断力となります。

参考リンク

学習の記録にははてなブックマーク!

気づいたこと・覚えたことをコメントにメモしよう