平成25年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問96 解説 売上データの分析
中間C 売上データの分析に関する次の記述を読んで,四つの問いに答えよ。 Aさんは,製品Nの売上の動向を分析するため,昨年と今年の売上高の推移を基に,表計算ソフトを用いて図1のワークシートを作成した。 図1のD列の移動合計欄には,当該月を含む過去12か月の売上の合計を,E列の売上累計欄には今年の売上高の累計を計算する式が入力されている。また,製品Nの売上の動向を視覚的に確認するため,図2の売上高の推移グラフを作成した。
- ア
- イ ✓ 正答
- ウ
- エ
解説
この問題は、表計算ソフトで作成された売上データとグラフを読み解き、製品Nの売上動向に関する記述の正誤を判断する能力を問うものです。正解の「イ」は、提示されたデータから読み取れる売上の成長傾向や特定の時期に売上が集中する季節性などを適切に指摘していると考えられます。データ分析の基本として、まず「昨年の売上高」と「今年の売上高」を比較し、次に「月ごとの推移」から季節変動の有無を確認します。さらに、問題文で示されている「移動合計」や「売上累計」といった指標の目的と計算方法を理解し、それらが売上動向の把握にどのように役立つかを理解することが重要です。
売上データの基本的な読み解き方
まず、図1のワークシートから製品Nの売上状況を確認しましょう。
- 年間売上の比較: 昨年の年間合計売上高は60,600千円に対し、今年は70,300千円と大きく増加しています。これは、製品Nの売上が前年比で明らかに成長していることを示しています。
- 月ごとの前年比: 各月を見ても、今年の売上は昨年を上回っている月が多く、特に3月は昨年11,900千円から今年13,200千円へと大幅に伸びています。また、12月も昨年2,700千円から今年4,100千円と大きく増加しています。
- 季節性の確認: 昨年の月別売上高を見ると、1月(3,000)から2月(4,100)にかけて増加し、3月(11,900)に急激にピークを迎えています。その後、4月(7,300)で減少する傾向が見られます。このことから、製品Nの売上には3月にピークが来るという季節変動がある可能性が高いと読み取れます。
このような分析結果に基づいて、製品Nの売上が「前年と比較して成長しており、特定の月に売上が集中する季節性がある」といった内容が「イ」の選択肢として提示され、それが最も適切な記述であると判断されたと考えられます。
データ分析を深める指標
問題文では、D列に「移動合計」、E列に「売上累計」を計算する式が入力されていると説明されています。これらの指標は、売上動向をより詳細に分析するために非常に役立ちます。
移動合計でトレンドを把握する
移動合計(Moving SumまたはRolling Sum)とは、ある時点を含む過去一定期間(この問題では過去12か月)の合計値を順次計算していく手法です。
- 計算方法: 例えば、「当該月を含む過去12か月の売上の合計」であれば、今年12月の移動合計は「今年の1月から12月までの売上高の合計」となります。同様に、今年11月の移動合計は「昨年12月から今年11月までの売上高の合計」となります。
- 分析の目的: 売上データには、月ごとの変動や季節性(例えば、夏には売上が伸びる商品、年末年始に売上が伸びる商品など)が含まれていることがよくあります。移動合計は、このような短期的な変動や季節性の影響をならし、長期的な売上のトレンド(上昇傾向、下降傾向、横ばいなど)を把握するために用いられます。例えば、毎月の売上はでこぼこしていても、12か月の移動合計を見れば、製品Nが年間を通じて本当に成長しているのか、それとも停滞しているのかが視覚的にわかりやすくなります。
売上累計で進捗と達成度を見る
売上累計(Cumulative Sum)とは、期首(通常は1月)からの売上高を順次合計していく指標です。
- 計算方法: 今年の1月の売上累計は1月の売上高そのもの、2月の売上累計は1月と2月の売上高の合計、3月の売上累計は1月、2月、3月の売上高の合計、というように計算されます。
- 分析の目的: 売上累計は、主に「目標達成度」や「年間を通じた進捗状況」を把握するために利用されます。例えば、年間の目標売上高が設定されている場合、毎月末の売上累計と目標累計(目標売上高を月割りしたものなど)を比較することで、計画通りに進んでいるか、遅れているかを迅速に判断できます。
グラフによる可視化の重要性
問題文には「図2の売上高の推移グラフを作成した」とあります。数値が並んだ表だけでは全体像や傾向を把握しにくいものですが、グラフにすることで、以下のようなメリットがあります。
- トレンドの視覚化: 売上が上昇しているのか下降しているのか、一目で把握できます。
- 季節性の発見: 特定の月に売上が集中するパターン(季節性)を簡単に発見できます。
- 異常値の特定: 通常とは異なる突出した売上や極端に低い売上など、異常な変動を検知しやすくなります。
- 比較の容易さ: 昨年と今年の売上推移を並べて表示することで、前年比での成長度合いを直感的に比較できます。
このようなグラフと、移動合計や累計といったデータ分析指標を組み合わせることで、製品Nの売上動向を多角的に、かつ正確に理解することができます。ITパスポート試験では、単に表計算ソフトの操作方法だけでなく、このようなデータから意味を読み解き、ビジネスに活用する基礎的な知識が問われます。