平成25年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問97 解説 コンバージョン率の計算
図1の経路図から,このサイトのコンバージョン率を求める式として,適切なものはどれか。ここで,式中のa〜fは,図1に示したA%〜F%のアクセス率を小数の値に変換した数値である。
- (a+b) × (c+d+e) ×f
- (a+c+f) × (b+d+c+f) × (b+e+f)
- a×c×f+b×d×c×f+b×e×f ✓ 正答
- f÷(a+b)
解説
この問題は、Webサイトのコンバージョン率を、複数の経路が絡む状況でどのように算出するかを問うものです。コンバージョンに至る可能性のあるすべての経路を特定し、それぞれの経路でコンバージョンに至る確率を計算して合計することで、全体のコンバージョン率を求めます。
コンバージョン率算出の基本的な考え方
コンバージョン率を求めるには、まずサイトの「入り口」から「コンバージョン達成」までの各経路に着目します。
- 各経路の確率を計算する: 1つの経路は、いくつかのステップ(ページ遷移やアクション)を経てコンバージョンに至ります。各ステップのアクセス率(確率)が と与えられている場合、その経路を通ってコンバージョンに至る確率は、経路上のすべての確率を掛け合わせることで求まります。これは「かつ」の確率、つまり、あるステップを通過し、かつ次のステップも通過し、かつその次のステップも通過するという論理積の考え方です。
- すべての経路の確率を合計する: コンバージョンに至る経路が複数ある場合、それぞれの経路で計算したコンバージョン確率をすべて足し合わせます。これは「または」の確率、つまり、この経路でコンバージョンに至るまたは別の経路でコンバージョンに至るという論理和の考え方です。
経路図の読み解きと式の導出
与えられた選択肢と正解の式から、以下のような経路図が推測できます。 サイトのスタート地点から、ユーザーは大きく2つの経路に分かれるとします。
経路1: 最初の分岐で を選ぶケース
- スタートから確率 で最初のページにアクセスし、
- さらにそこから確率 で次のページに進み、
- 最後に確率 でコンバージョンに至る。 この経路でのコンバージョン確率は となります。
経路2: 最初の分岐で を選ぶケース
- スタートから確率 で最初のページにアクセスします。
- この を選んだ後、さらに2つの分岐があると推測できます。
- 経路2-1: を選ぶケース
- 確率 で特定のページに進み、
- そこから確率 でさらに別のページに進み、
- 最後に確率 でコンバージョンに至る。 この経路でのコンバージョン確率は となります。
- 経路2-2: を選ぶケース
- 確率 で特定のページに進み、
- そこから確率 でコンバージョンに至る。 この経路でのコンバージョン確率は となります。
- 経路2-1: を選ぶケース
これらの3つの経路(経路1、経路2-1、経路2-2)は、ユーザーが同時に複数辿ることはできない独立した経路です。そのため、それぞれの経路でコンバージョンに至る確率を合計することで、サイト全体のコンバージョン率を求めることができます。
したがって、コンバージョン率は となります。これが正解の選択肢と一致します。
他の選択肢が不適切な理由
- : これは各段階での選択肢の確率を足し算して合計確率を求め、それを掛け合わせるという間違った計算方法です。特に、 の部分が複数の経路の複雑な関係を正しく表現できていません。
- : これは各経路の確率を足し合わせたものを、さらに掛け合わせるという、確率計算の原則に反するものです。それぞれの積の項が何を意味するのかも不明確です。
- : これは単純な割り算であり、複数のステップを経てコンバージョンに至る確率を計算する式としては不適切です。
この知識が役立つ場面と学習の意図
この問題は、Webサイトやオンラインサービスにおけるユーザー行動の分析の基礎となる「コンバージョン率」の計算方法を理解しているかを問うものです。
- Webマーケティング・データ分析: 実際にWebサイトを運用する際には、Google Analyticsなどのツールを使って、ユーザーがどのページから流入し、どのような経路を辿って最終的な目標(商品購入、資料請求、会員登録など)を達成したかを分析します。この分析結果は、サイトの改善点を見つけたり、マーケティング施策の効果を測定したりするために不可欠です。この問題で問われたような経路ごとのコンバージョン率の計算は、Webサイトのボトルネック(ユーザーが離脱しやすい場所)を特定し、UI/UX(ユーザーインターフェース/ユーザーエクスペリエンス)を改善するための具体的な示唆を与えます。
- ビジネスにおける意思決定: ITパスポート試験では、ITの基礎知識だけでなく、ITを活用したビジネスの知識も問われます。コンバージョン率の分析は、ビジネス戦略の立案や投資判断にも影響を与えます。例えば、どの広告チャネルからのユーザーが最もコンバージョン率が高いか、特定のキャンペーンがどれだけコンバージョンに貢献したかなどを評価する際に、このような確率的な思考が求められます。
この問題は、単に計算式を覚えるだけでなく、具体的な状況(経路図)から適切な計算ロジックを導き出す「論理的思考力」を測るという教育的意図も含まれています。ITパスポートで学ぶ内容は、実社会のさまざまな場面で応用できる基礎的なビジネススキルであることがわかります。