平成26年度 秋期 ITパスポート試験 公開問題 問9 解説 BSCの定義
BSC(Balanced Scorecard)の説明として適切なものはどれか。
- 一定の時点における資金調達と資金運用の状態を表示する会計報告書
- 最低の総コストで必要な機能を確実に達成するための分析手法
- 財務,顧客,業務プロセス,学習と成長という視点から行う企業業績の評価手法 ✓ 正答
- 電子商取引のうち企業と消費者で行う取引
解説
解き方:キーワードの紐付けで正解を導く
BSCという用語を見たら、真っ先に「4つの視点」という言葉を探してください。選択肢の中に「財務」「顧客」「業務プロセス」「学習と成長」という4つの要素が含まれているものが、BSCの定義として正解となります。
BSC(バランスト・スコアカード)とは何か
BSCとは、企業の経営戦略を具体化し、実行するための管理手法です。従来の経営評価は売上や利益といった「財務」の数値のみに偏りがちでしたが、それだけでは将来に向けた企業の健康状態を把握できません。そこで、以下の4つのバランスの取れた視点から評価を行う手法が考案されました。
- 財務の視点:株主や投資家に対し、売上高や利益率でどう貢献するか
- 顧客の視点:顧客に対してどのような価値を提供し、どう選ばれるか
- 業務プロセスの視点:顧客を満足させるために、どのような業務を磨くべきか
- 学習と成長の視点:組織として成長し続けるために、人材やシステムをどう整えるか
これらは単独で存在するのではなく、学習と成長の視点が業務プロセスを改善し、それが顧客満足につながり、最終的に財務的な成果を生むという一連の因果関係(ストーリー)としてつながっています。
ビジネスの現場での活用と重要性
この知識が試験で問われる理由は、現代の経営において「短期間の利益追求だけでは企業は生き残れない」という共通認識があるからです。
例えば、あるIT企業が「今期の利益を最大化する」ことだけを目標に掲げたとします。すると、目の前の案件をこなすことばかりに集中し、技術力向上への研修(学習と成長)や、顧客の声を聞くための開発プロセス見直し(業務プロセス)がおろそかになるでしょう。結果として、数年後には競合他社に追い抜かれてしまいます。
BSCは、こうした「目先の利益」と「将来の成長」という矛盾しがちな目標を、戦略マップとして可視化し、組織全体がバランスよく動くための羅針盤として機能します。経営戦略の立案に関わるマネージャー層だけでなく、現場のエンジニアや営業スタッフにとっても、自分たちの作業が企業のどの戦略目標に貢献しているのかを理解するために役立つ概念です。
他の選択肢について整理しておくと、「一定の時点における資金調達と資金運用の状態」は「貸借対照表(B/S)」の説明であり、「最低の総コストで必要な機能を達成する手法」は「VE(バリューエンジニアリング)」、「電子商取引のうち企業と消費者で行う取引」は「BtoC」の定義です。これらもあわせて覚えておくと、試験時の判断速度が上がります。