平成26年度 秋期 ITパスポート試験 公開問題 問98 解説 精算システムの機能要件
中間D 交通費精算業務の改善に関する次の記述を読んで,四つの問いに答えよ。 (中略:問題文は問97と共通)
- ア. 申請画面の明細入力において,顧客番号の入力を必須にする。
- イ. 申請画面の明細入力において,利用区間の入力を必須にする。
- ウ. 申請画面の明細入力において,利用日の入力を必須にする。
- エ. 申請画面の明細入力において,経費科目の入力を必須にする。 ✓ 正答
解説
この問題は、業務要件とシステム設計の不整合を見抜く力を問うています。正解を導くための鍵は、問題文で示された機能要件の中に「システム側で自動的に行う処理」が含まれていないかを確認することです。
今回のケースでは、機能要件に「経費科目として交通費を自動設定する」と明記されているため、申請画面においてユーザー(申請者)が「経費科目」を入力・選択させる項目を必須にすることは、システムの設計意図と矛盾します。自動入力される項目をわざわざ手入力させることは、ユーザビリティの低下や入力ミスを招く要因となるため、改善案としては適切ではありません。
システム設計における入力項目の最適化
システム開発において、ユーザーが入力する項目を「必須」にするか「任意(または自動設定)」にするかの判断は非常に重要です。以下の視点で整理すると、試験問題の意図を理解しやすくなります。
- データの整合性確保:システムが自動計算や自動設定を行える項目については、人間による入力を排除するほうがデータの揺らぎを防げます。
- ユーザーの負担軽減:入力項目が多ければ多いほど、ユーザーの作業時間は増え、入力ミスも発生しやすくなります。自動設定を活用して入力を最小化することは、業務改善の基本原則です。
- 機能要件との整合性:要件定義書で決まった仕様(自動設定など)に対して、画面設計が逆行する設計になっていないかを常にチェックする習慣が、システム管理者やITエンジニアには求められます。
業務改善への活用
この知識は、社内システムの導入や改修の際に極めて有用です。例えば、新しい経費精算システムを導入する際、「なぜこの項目は入力不要なのか」「なぜこの項目だけ必須なのか」を、業務プロセスと照らし合わせて議論できるようになります。
現場の業務フローでは「なんとなく毎回入力している」といった無駄な作業が隠れていることが多いです。本問のように「システムが自動化できる部分はシステムに任せ、人間は確認や判断のみを行う」という考え方は、デジタル化による業務効率化の本質そのものです。ITパスポート試験では、このようなシステムの利便性をどう高めるかという視点を持つことが、午後問題やマネジメント分野の理解にもつながります。