平成26年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問33 解説 ITサービスマネジメント
ITサービスマネジメントのプロセスに該当するものはどれか。
- ア 開発中のプログラムについて,不良の発生状況などから品質を評価する。
- イ 稼働中のシステムについて,運用方法に問題が無いかどうかを,独立した第三者が監査する。
- ウ システム開発プロジェクトが予定どおり完了するように,進捗状況を評価する。
- エ システムの稼働実績を基に,提供されているサービスのレベルを評価する。 ✓ 正答
解説
ITサービスマネジメント(ITSM)は、ITシステムの開発そのものではなく、完成したシステムをどのように安定して提供し続けるかに焦点を当てた考え方です。この問題は、ITサービスマネジメントの定義を知っていれば、選択肢の中から「サービスの運用と改善」に関連するものを選ぶだけで正解にたどり着けます。
ITサービスマネジメントの目的とは
ITサービスマネジメントとは、利用者に対して質の高いITサービスを継続して提供し続けるための取り組みです。システムは「作って終わり」ではなく、稼働を開始してからが本番です。利用者が業務を円滑に進められるよう、あらかじめ定めたサービスの品質(サービスレベル)を守り、もし問題が発生すれば速やかに解決し、改善し続ける活動がこれに当たります。
今回の正解である選択肢エは、まさにこの「サービスレベルの管理」を指しています。稼働実績という客観的な数値を基に、目標としていたサービス水準が維持できているかを評価し、必要に応じて改善策を講じることは、ITサービスマネジメントの核心部分です。
なぜ他の選択肢は違うのか
各選択肢がどの分野に該当するのかを整理すると、違いが明確になります。
アは品質管理(QA)またはソフトウェア開発工程の一部です。プログラムのバグや品質に注目しているため、サービス運用の枠組みというよりは、開発・製造プロセスに近い活動です。
イはシステム監査です。これはITサービスマネジメントのプロセスそのものではなく、ITサービスが適切に行われているか、ルール違反がないかなどを客観的にチェックする「第三者の評価」です。
ウはプロジェクトマネジメントです。システム開発には納期、予算、人員の計画があり、それらが守られているかを管理するのはプロジェクトマネジメントの仕事です。ITサービスマネジメントは、プロジェクトが完了した後の「稼働中のシステム」を対象にするという点で大きく異なります。
実務における活用の視点
ITパスポートでこの知識を問う意図は、将来皆さんがシステム利用者やシステム管理者になったとき、どのような仕組みでシステムが支えられているかを理解してもらうことにあります。
例えば、皆さんが社内で「メールサーバーが遅い」と感じたとき、IT部門は「サービスレベル合意書(SLA)」という取り決めに基づき、あらかじめ合意した基準(例:メールの送受信は〇分以内など)を守れているかを確認します。もし基準を満たしていなければ、今回の問題の通り、稼働実績を分析して改善を行います。このように、ITサービスマネジメントは、日々の快適なIT環境を支えるための「仕組みのルールブック」として、実務のあらゆる場面で活用されています。