平成27年度 秋期 ITパスポート試験 公開問題 問11 解説 営業情報の共有システム
個々の営業担当者が保有している営業情報や営業ノウハウをデータベースで管理 し,営業部門全体で共有できるようにしたい。この目的を達成するために活用する 情報システムとして,最も適切なものはどれか。
- ア CRM システム
- イ SCM システム
- ウ SFA システム ✓ 正答
- エ データウェアハウス
解説
営業活動を組織の力に変える「SFA」の判断基準
この問題は、システムの目的が「営業担当者の活動やノウハウの共有」にある点に着目して解きます。選択肢の中で「Sales Force(営業部隊)」を直接的に支援・自動化(Automation)するシステムを指すのは、SFA(Sales Force Automation)のみです。
個人のスキルに依存しがちな営業現場を、データに基づいて組織全体で管理・効率化しようとする文脈が出てきたら、SFAが正解の筆頭候補となります。
営業支援システム(SFA)とは何か
SFAは、営業担当者が日々の活動内容や商談の進捗状況、顧客とのやり取りをシステムに入力し、それを部門全体で可視化するためのツールです。
かつて営業活動は、各担当者の「勘」や「経験」、あるいは個人の手帳の中にだけ存在する「ブラックボックス」になりがちでした。しかし、SFAを導入することで、誰が、いつ、どの顧客に対して、どのような提案を行ったのかという情報がデータベース化されます。
これにより、以下のようなメリットが生まれます。
- 予実管理の精度向上:現在進行中の商談がどれくらいの確率で成約するかを数値化し、売上予測を立てやすくします。
- ノウハウの標準化:トップセールスの行動パターンや提案資料を共有し、新人や中堅層の育成に役立てます。
- 顧客対応の継続性:担当者が不在の際や引き継ぎが発生した際でも、過去の経緯をシステムで確認できるため、顧客に不便を感じさせません。
紛らわしい用語との違い
ITパスポート試験では、SFAとCRM(顧客関係管理)の区別がよく問われます。どちらも顧客情報を扱いますが、その焦点が異なります。
CRM システム
CRM(Customer Relationship Management)は、顧客との長期的な「関係性」を構築・維持することに主眼を置きます。購入履歴や問い合わせ内容を管理し、一人ひとりの顧客に最適なサービスやキャンペーンを提供することで、顧客満足度を高め、LTV(顧客生涯価値)を最大化させることを目指します。
SCM システム
SCM(Supply Chain Management)は、資材調達から製造、流通、販売に至るまでの一連の「供給の連鎖(サプライチェーン)」を最適化するシステムです。在庫の削減やリードタイムの短縮が主な目的であり、営業担当者のノウハウ共有とは領域が異なります。
データウェアハウス
データウェアハウスは、社内の様々なシステムから発生する大量のデータを、時系列に沿って整理・蓄積したデータベースのことです。それ自体は「データの置き場所」を指し、意思決定や分析(BIツールの利用など)のために使われます。特定の営業業務に特化した仕組みを指すものではありません。
実社会における導入の意義
この問題が問うているのは、単なる用語の暗記ではなく、「属人化からの脱却」という現代ビジネスの重要な課題です。
ITパスポート試験の対象となる社会人や学生にとって、ITシステムを活用して組織の生産性を高める視点は欠かせません。営業活動をデータ化し、成功事例も失敗事例もチームの資産として蓄積していくSFAの考え方は、DX(デジタルトランスフォーメーション)の第一歩としても非常に重要です。