平成27年度 秋期 ITパスポート試験 公開問題 問27 解説 BSCの定義
企業の経営を,財務的な業績からだけでなく顧客,業務プロセス,学習と成長といった側面から分析評価し,戦略の策定に結び付けようとする手法はどれか。
- ア BSC ✓ 正答
- イ CSF
- ウ PPM
- エ SWOT分析
解説
この問題の解き方:4つの視点というキーワードに着目する
問題文にある「財務」「顧客」「業務プロセス」「学習と成長」という4つの側面というキーワードを見つけたら、即座にBSC(バランスト・スコアカード)を選びましょう。ITパスポート試験において、この4つのキーワードとセットで出題される用語はBSC以外にありません。
BSC(バランスト・スコアカード)とは何か
BSC(Balanced Scorecard)は、企業が戦略を立てる際に、お金のことだけではなく、バランスよく組織全体を評価しようという考え方です。
これまで多くの企業は、売上や利益といった財務的な数字だけで経営状態を判断してきました。しかし、財務データはあくまで過去の結果です。未来に向けて企業が成長するためには、もっと多角的な視点が必要だと考え、考案されたのがこのフレームワークです。具体的には以下の4つの視点で考えます。
- 財務の視点:株主や投資家に対し、どのような財務数値を示すべきか
- 顧客の視点:顧客に選ばれるために、どのような価値を提供すべきか
- 業務プロセスの視点:顧客を満足させるために、どのような業務で卓越すべきか
- 学習と成長の視点:組織の目標を達成するために、どのように変化し成長し続けるべきか
これらを戦略目標として設定し、それぞれの指標(KPI)を決めて進捗を管理することで、目に見えない無形の資産も含めた全体最適を実現することを目指します。
他の選択肢はなぜ違うのか
本問の選択肢にある用語は、どれも経営戦略を立てる際によく使われるものですが、目的が異なります。
CSF(Critical Success Factor:重要成功要因)は、目標を達成するために最も重要となる具体的な要因を指します。BSCにおいて指標を定める際に、どの要素が成功の鍵となるかを分析する過程で用いられますが、4つの視点で全体を俯瞰する手法そのものではありません。
PPM(Product Portfolio Management:製品ポートフォリオ管理)は、企業の限られた経営資源を、どの製品(事業)に集中させるべきかを判断するための手法です。「花形」「金のなる木」「問題児」「負け犬」といった枠組みで分類し、事業の選択と集中を判断します。
SWOT分析は、企業の内部環境(強み・弱み)と外部環境(機会・脅威)を整理して、戦略の方向性を決める分析手法です。これらは「現状分析」に強みがありますが、BSCのような「視点のバランスと業績評価の体系化」とは役割が異なります。
経営戦略におけるBSCの役割
BSCが実社会で活用されるのは、経営戦略を現場の行動にまで落とし込む時です。「財務目標を達成するために、顧客満足度を上げ、そのためには業務効率化が必要で、そのために社員のITスキルを向上させよう」といったように、抽象的なビジョンが個々の社員のタスクとつながるようになります。
ITパスポート試験では、これらの経営戦略用語を「分析のための道具」として整理して覚えることが重要です。分析対象が「4つの視点」ならBSC、「市場の成長率とシェア」ならPPM、「環境のプラス面・マイナス面」ならSWOT、というようにキーワードと道具をセットで記憶しておきましょう。