平成27年度 秋期 ITパスポート試験 公開問題 問32 解説 バーチャルチームの利点
プロジェクトを進めるためのチーム編成の方法には,作業場所を一か所に集約し て全員が集まる方法,作業場所を集約せずにWeb会議やインスタントメッセンジャな どで連絡を取り合う方法などがある。技術者が限られている特殊なプログラム言語 を採用したシステム開発プロジェクトの遂行において,作業場所を一か所に集約す る方法と比較して,集約しない方法の利点のうち,最も適切なものはどれか。
- ア 対象技術者が育児中,海外駐在中などのメンバであっても参画させやすい。 ✓ 正答
- イ チームメンバ間で対面での簡単な打合せが実施しやすい。
- ウ プロジェクトのリスクを特定することができる。
- エ プロジェクトマネージャを参画させることができる。
解説
選択肢の判断ポイント
この問題は、作業場所を集約しないチーム(バーチャルチーム)のメリットを問うものです。問題文にある「技術者が限られている」「特殊なプログラム言語」という条件は、物理的な場所の制約に縛られず、いかに最適な人材を確保するかが重要であることを示唆しています。地理的制約を克服できる選択肢を選べば正解にたどり着けます。
バーチャルチームの概念と特徴
ITパスポート試験では、プロジェクトマネジメントにおいて、チームメンバーが物理的に離れた場所にいてもネットワーク経由で協力して開発を行う形態を「バーチャルチーム」と呼びます。
かつてのシステム開発では、全員が同じフロアに集まる「集中型」が一般的でした。しかし、現在ではクラウドサービス、Web会議システム、チャットツール、プロジェクト管理ツールなどが充実したため、物理的な場所を問わないチーム編成が現実的になっています。
今回の問題の鍵は、特定のスキルを持つ「特殊な技術者」の確保です。スキルを持った人材が必ずしもオフィスに通勤できるとは限りません。育児や介護、あるいは海外居住といった理由で物理的な移動が困難な優秀な人材をプロジェクトに組み込めることは、プロジェクトの成功確率を劇的に高めます。
実務現場における活用シーン
この知識は、プロジェクトを計画する際の「リソース調達戦略」として極めて重要です。
例えば、新しい開発環境を導入する際、社内に経験者がいなければ、外部からそのスキルを持つ人を雇う必要があります。もし「出社可能な人」という条件だけで探すと、対象者が限られてしまい、採用コストが高騰したり、プロジェクトの納期に間に合わなかったりする可能性があります。
一方で、バーチャルチームという選択肢を持っていれば、日本全国や海外を含めた広い範囲から技術者を探せます。プロジェクトマネージャは、場所にとらわれず「どの技術者が最適か」という基準でチームを編成できるようになり、プロジェクトの柔軟性と質が向上します。
他の選択肢が誤りである理由
イ:対面での打ち合わせが実施しやすいのは、作業場所を一か所に集約する「集中型」のメリットです。バーチャルチームでは、どうしても顔を合わせる機会は減るため、これは当てはまりません。
ウ:リスク特定はプロジェクトマネジメントの活動であり、作業場所の集約・非集約だけで直接的に決定されるものではありません。むしろ、離れた場所にいるからこそ、こまめな情報共有を行わないとリスクが見えにくくなる側面もあります。
エ:プロジェクトマネージャの参画可否は、チーム編成の方法そのものよりも、組織の体制や契約形態に依存します。バーチャルチームだからといってプロジェクトマネージャを必ず参画させられるわけではありません。