平成27年度 秋期 ITパスポート試験 公開問題 問31 解説 プロジェクト調達マネジメント
プロジェクトマネジメントの知識エリアには,プロジェクトコストマネジメント, プロジェクト人的資源マネジメント,プロジェクトタイムマネジメント,プロジェ クト調達マネジメントなどがある。あるシステム開発プロジェクトにおいて,テス ト用の機器を購入するときのプロジェクト調達マネジメントの活動として,適切な ものはどれか。
- ア 購入する機器を用いたテストを機器の納入後に開始するように,スケジュールを作成する。
- イ 購入する機器を用いてテストを行う担当者に対して,機器操作のトレーニングを行う。
- ウ テスト用の機器の購入費用をプロジェクトの予算に計上し,総費用の予実績を管理する。
- エ テスト用の機器の仕様を複数の購入先候補に提示し,回答内容を評価して適切な購入先を決定する。 ✓ 正答
解説
この問題は、プロジェクトマネジメントの知識エリアの中でも「調達マネジメント」が何を目的としているかを問うています。正解を導くための鍵は「調達とは外部から何かを買い入れるプロセスである」という点に注目することです。
調達マネジメントの目的とは
プロジェクトマネジメントにおける「調達」とは、自社で作るのではなく、外部の業者から製品やサービスを買い入れることを指します。
機器を購入する際、単に「お金を払って買う」だけでなく、「どの業者から、どのような条件で、いくらで買うのが最適か」を見極めるプロセスが必要です。選択肢エにある「仕様を提示して提案を募り、評価して選定する」という活動は、調達の最も重要なステップです。これにより、品質、コスト、納期のバランスが取れた適切な契約先を選ぶことができます。
各選択肢が調達マネジメントではない理由
なぜ他の選択肢が正解ではないのかを整理します。
選択肢アの「スケジュールの作成」は、プロジェクトタイムマネジメントの領域です。いつ何をするかという計画自体は、調達とは別の管理プロセスになります。
選択肢イの「担当者へのトレーニング」は、プロジェクト人的資源(リソース)マネジメントに関係します。教育や育成は、チームの能力を向上させるための活動であり、購入先を選定する調達活動とは切り離して考えます。
選択肢ウの「予算の計上や予実績管理」は、プロジェクトコストマネジメントの領域です。予算を立てることと、その予算内で調達する先を選定することは別物です。調達マネジメントは、コストマネジメントの結果である「予算」という枠組みの中で、より具体的に「誰から何を仕入れるか」を実行するプロセスといえます。
実務における調達マネジメントの意義
実際のシステム開発現場でも、この調達マネジメントの考え方は非常に重要です。例えば、社内にサーバー構築の技術者がいない場合、外部のデータセンターやクラウドベンダーと契約する必要があります。
この際、適当に業者を選んでしまうと、後から「思ったより性能が出ない」「サポートが有料オプションばかりでコストがかさむ」といったトラブルに発展します。そのため、要件をまとめた依頼書を作成し、複数のベンダーから提案を募る(RFP: 提案依頼書の送付)プロセスを踏むことで、プロジェクトの成功確率を上げることができます。ITパスポートで学ぶこの知識は、発注者としてベンダーと正しく向き合うための基礎体力となります。