平成27年度 秋期 ITパスポート試験 公開問題 問30 解説 アクセス管理の検討時期
内部統制の一環として,業務分掌と整合のとれたアクセス管理を実現することになった。情報システムの開発において,アクセス管理の検討を開始するプロセスとして,適切なものはどれか。
- ア 要件定義 ✓ 正答
- イ プログラミング
- ウ テスト
- エ 運用開始後
解説
正解の導き方
この問題は、システム開発の「工程」と「セキュリティの検討タイミング」を関連付けることで解くことができます。結論からいえば、情報セキュリティや内部統制といったシステムの根幹に関わるルールは、後から追加することが難しいため、開発の最初期である「要件定義」の段階で必ず決めておく必要があります。
なぜ要件定義で決める必要があるのか
システム開発には、要件定義、設計、プログラミング、テスト、運用といった一連の流れがあります。この中で要件定義とは、「どのような機能が必要か」「どのようなセキュリティ対策が必要か」というルールを定めるフェーズです。
もし要件定義でアクセス管理(誰がどのデータに触れてよいかというルール)を決めずにプログラミングやテストの段階まで進んでしまうと、以下のような問題が発生します。
・システムの根本的な設計がルールに対応しておらず、すべて作り直しになる ・開発コストや時間が大幅に膨れ上がる ・運用開始後にセキュリティの欠陥が見つかり、重大な情報漏洩リスクを抱えることになる
いわゆる「手戻り」を防ぐためには、最初に「何を守るのか」「誰にどこまでの権限を与えるのか」を明確にし、設計図に組み込むことが不可欠なのです。
業務分掌とアクセス管理の関係性
内部統制における業務分掌(ぎょうむぶんしょう)とは、不正やミスを防ぐために、一人の人間にすべての権限を与えず、役割を分担させることを指します。
例えば、「仕入の登録」をする人と「支払の承認」をする人を別々にすることなどがこれに当たります。この概念をITシステムに落とし込むのが「アクセス管理」です。開発の現場では、プログラミングのコードを書く前に、「このシステムでは、AさんのIDではこの画面は見せ、BさんのIDではこの操作を禁止する」というルールを定義書に落とし込み、それを開発者に指示しなければなりません。
このプロセスを意識することは、単に試験に合格するためだけでなく、将来ITエンジニアやシステム企画職として働く際に、「セキュリティは後付けではなく、企画の段階から組み込むもの」という「セキュリティ・バイ・デザイン」の考え方を身につけることにつながります。