平成27年度 秋期 ITパスポート試験 公開問題 問53 解説 TCOの構成要素
コンピュータシステムに関する費用a~cのうち, TCOに含まれるものだけを全て 挙げたものはどれか。 a 運用に関わる消耗品費 b システム導入に関わる初期費用 c 利用者教育に関わる費用
- a, b
- a, b, c ✓ 正答
- a, c
- b, c
解説
TCOは「購入時だけ」ではないと心得る
TCO(Total Cost of Ownership:総保有コスト)とは、コンピュータシステムを導入してから、運用し、最終的に廃棄するまでの期間に発生するすべての費用のことです。
本問を解く際は、「初期費用だけがコストではない」と判断できるかどうかが鍵です。選択肢のa(消耗品費)、b(初期費用)、c(教育費)はすべて、システムの導入から稼働期間中に発生する金銭的な負担であるため、すべてTCOに含まれると判断します。
TCOの考え方と内訳
TCOは「イニシャルコスト(初期費用)」と「ランニングコスト(運用費用)」の合算で成り立っています。
- イニシャルコスト:ハードウェアやソフトウェアの購入費、開発費、導入に伴う設計・構築費など。
- ランニングコスト:人件費、保守・メンテナンス費、電気代や通信費、消耗品費、利用者教育費など。
例えば、新しいパソコンを導入する場合を考えてみましょう。本体を購入する費用(b)だけでなく、印刷用の用紙やインク代(a)、新しいシステムの使い方を習得するための研修費用(c)も、そのパソコンを「保有」するために避けては通れないコストです。このように、表面上の購入価格だけでなく、見えにくい維持管理費用まで含めて計算するのがTCOの考え方です。
なぜTCOを意識する必要があるのか
TCOという概念は、経営層やIT部門が「システムへの投資対効果(ROI)」を評価する際に非常に重要です。
システム導入を検討する際、多くの担当者はつい安価な製品を選びがちです。しかし、購入価格が安くても、頻繁に故障して保守費がかさんだり、操作が難しくて社員教育に膨大なコストがかかったりすれば、結果として割高なシステムになってしまいます。
ITパスポート試験でこの知識が問われるのは、システム導入の意思決定において「目先の金額だけで判断せず、稼働後を含めたライフサイクル全体のコストを俯瞰して考える視点」が求められているからです。企業で実際にシステム選定や予算計画を立てる際、この考え方は、コスト削減のポイントを見極めるための基本的な指標として活用されています。