平成27年度 秋期 ITパスポート試験 公開問題 問66 解説 LANの物理接続確認
図のように,ADSLモデムを介してPCからインターネット上のWebサーバを利用するため,機器の接続作業を行っている。 PC1に接続されたLANケーブルをハブの空きポートに接続したところ,そのポートのリンクランプが点灯した。このことだけで判断できることとして,適切なものはどれか。
- ア PC1からLAN内のPC2やADSLモデムにアクセスできる状態である。
- イ PC1からインターネット上のWebサーバまでの,暗号化通信が確立されている。
- ウ PC1からインターネットへの接続が完了しており,インターネット上のサービスを利用できる状態である。
- エ PC1からハブまでの物理的な配線が完了している。 ✓ 正答
解説
この問題は、OSI参照モデルにおける「物理層」の役割を理解しているかを問うものです。リンクランプの点灯は「ケーブルが正しく接続され、電気信号のやり取りが可能になった」ことのみを示しており、通信相手との論理的な接続や通信可否までは保証しない、と判断することで正解を導けます。
リンクランプが示すことの限界
コンピュータネットワークにおいて、通信ができるようになるまでには、いくつかの段階があります。
- 物理層(レイヤ1):ケーブルを挿し、電気が流れて信号が伝わる状態
- データリンク層(レイヤ2):機器同士が通信相手を認識し、データの受け渡しができる状態
- ネットワーク層(レイヤ3):IPアドレスの設定などが完了し、経路を介して通信できる状態
リンクランプの点灯は、この中の「1. 物理層」のみがクリアされた状態です。選択肢の「ア(他のPCへのアクセス)」や「ウ(インターネットへの接続)」は、IPアドレスの設定ミスやルーティング設定の不備があればリンクランプが点灯していても失敗します。また、「イ(暗号化通信)」に至っては、通信の準備が終わった後にアプリケーション層やトランスポート層で行われる手続きであるため、物理的な配線だけで判断できるはずがありません。
ネットワークトラブルシューティングにおける重要性
この知識は、実際の現場でトラブルシューティングを行う際の「切り分け」において極めて重要です。
ネットワークがつながらない時、エンジニアはまず「物理層は生きているか?」を確認します。もしリンクランプが消灯していれば、LANケーブルの断線やポートの故障が疑われ、その時点で設定ファイルの確認などは不要であると判断できます。逆に、ランプが点灯しているのに通信できない場合は、物理的な問題ではなく「IPアドレスの重複」や「DNSサーバーの設定ミス」など、より上位の層に原因があると絞り込むことができます。
ITパスポート試験では、このように「何ができて、何ができないのか」という境界を明確にする問題が頻出します。システムのどこに問題があるのかを冷静に判断する力を養うことが、合格への近道です。