平成27年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問8 解説 企画プロセスでの作業
システム構築の流れを,企画プロセス,要件定義プロセス,開発プロセス,運用プロセス,保守プロセスに分けたとき,企画プロセスにおいて実施する作業として適切なものはどれか。
- ア システム化しようとする対象業務の問題点を分析し,実現すべき課題を定義する。 ✓ 正答
- イ システムに関係する利害関係者のニーズや要望,制約事項を定義する。
- ウ システムの応答時間や処理時間の評価基準を設定する。
- エ ソフトウェアの性能やセキュリティの仕様などに関する要件を文書化する。
解説
問題の解き方:システム開発の「順序」で仕分ける
この問題は、システム開発の全工程を上流から順に思い浮かべ、どの作業がどの段階にあるかを判別することで解けます。企画プロセスは最も上流に位置する「何のために、何を解決するシステムを作るか」を決める段階です。
選択肢のキーワードから、以下の通り分類できます。 ・ア:問題分析と課題定義(なぜシステムが必要か?)→ 企画プロセス ・イ:利害関係者のニーズ定義 → 要件定義プロセス ・ウ:処理時間などの性能指標の設定 → 要件定義プロセス(システム要件定義) ・エ:性能やセキュリティ仕様の文書化 → 要件定義プロセス(システム要件定義)
企画プロセスとは何か
企画プロセスは、情報システム構築の入り口です。経営戦略や部門の課題に基づき、「既存業務にどんな問題があり、それをシステムでどう解決すれば利益や効率が生まれるか」という投資対効果(ROI)を検討します。
ここで重要なのは、具体的なシステム構成(サーバーのスペックやプログラムの言語など)を考えることではなく、「ビジネス上の目的を達成するために、システム化の対象範囲をどこにするか」を明確にすることです。
なぜこの分類が試験で重要なのか
ITパスポート試験において、この工程の分類は頻出です。実務の現場では、この企画段階をおろそかにしたまま開発に入ってしまうと、「作ってみたものの、実は現場が抱える本当の問題とはズレていた」という致命的な失敗を招きます。
要件定義プロセス以降は「何を作るか」「どう作るか」を具体化する作業ですが、企画プロセスは「そもそも、それを作る意味があるのか」という問いに対する答えを出す作業です。この違いを理解しているかどうかが、システムエンジニアやITを活用するビジネスパーソンとしての適性を問うポイントになっています。
各プロセスの流れを整理する
システム開発は通常、以下の順序で進行します。
- 企画:経営課題の発見、投資の判断、プロジェクトの立ち上げ
- 要件定義:何を実現するシステムにするか、必要な機能や性能の定義
- 開発:設計・実装・テスト
- 運用:サービス公開後の維持・監視
- 保守:バグ修正や改修
本問の選択肢イ・ウ・エは、すべて要件定義プロセスに含まれる「具体的なシステム要件」の話です。企画段階では、「どのような機能が必要か」よりも一歩手前の「どの課題を解決すべきか」に焦点が当てられているという点に注目してください。