平成27年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問14 解説 日本工業規格(JIS)
問14 日本工業規格(JIS)に関する説明のうち,適切なものはどれか。
- ア ISOなど,国際的な規格との整合性に配慮した規格である。 ✓ 正答
- イ 規格に適合しない製品の製造・販売は禁止されている。
- ウ 鉱工業の分野ごとに,民間団体が定めた標準を集めた規格である。
- エ 食品や医薬品の安全性に関する基準を規定している。
解説
この問題は、JIS(日本産業規格)の定義と目的を理解していれば、一瞬で正解を選べる問題です。JISは国際規格であるISOやIECと調和させることを大前提としているため、選択肢アが正解となります。他の選択肢は、規格の性質や対象分野を混同させるための引っかけです。
JIS(日本産業規格)とは何か
JISは日本の産業製品に関する基準や評価方法を定めた国家規格です。産業標準化法に基づき、日本産業標準調査会(JISC)の審議を経て主務大臣が制定します。
現在のグローバルなビジネス環境では、日本だけで通用する独自の規格を作っても、海外の製品と部品の互換性がなかったり、輸出入の障壁になったりしてしまいます。そのため、現在では世界的な規格であるISO(国際標準化機構)やIEC(国際電気標準会議)の基準と整合性を図り、世界共通で通用する品質や安全性を確保することが強く求められています。
誤った選択肢から学ぶ注意点
選択肢イ、ウ、エを否定する根拠を理解すると、より知識が深まります。
選択肢イが誤りである理由は、JISが原則として「任意規格」だからです。一部の法律で引用されている製品を除けば、JISマークがついていない製品を作ったり売ったりすることは違法ではありません。ただし、JISマークがなければ公共工事などで採用されなかったり、顧客からの信頼を得られなかったりするという実質的な制約があります。
選択肢ウは「民間団体」という点が誤りです。JISは国家規格であり、官民の専門家が議論しますが、最終的には国が制定します。民間団体が定める規格には、JAS(日本農林規格)や、各業界団体が定める標準などがあります。
選択肢エは対象分野の誤りです。食品についてはJAS法(農林物資の規格化等に関する法律)に基づくJAS規格、医薬品については薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)という専門の法律で管理されています。JISは主に工業製品やデータ形式などを対象としています。
なぜこの知識が重要なのか
ITの現場では、例えばUSBケーブルやパソコンのコネクタ形状、あるいは情報セキュリティの管理基準まで、規格に依存する事象が山ほどあります。もし自分たちの開発した製品が国際規格と大きくズレていれば、それは市場から孤立することと同義です。
ITパスポート試験においてこの問題が出題される意図は、単なる知識の暗記を求めるだけでなく、「規格とは誰が決め、何のために存在し、世界とどう関わっているのか」という国際的な標準化の考え方を身につけてほしいという点にあります。これを知っていると、将来システム導入や設計に携わった際、規格の重要性や選定基準を正しく判断できるようになります。