平成27年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問18 解説 BSCを導入する目的
問18 BSCを導入する目的はどれか。
- ア 環境などに配慮した活動によって,社会的責任を果たすこと
- イ 財務報告の信頼性を向上させ,投資家保護に貢献すること
- ウ 市場成長率と市場シェアによって,効率的に経営資源を配分すること
- エ 短期的な財務成果に偏らない複数の視点から,戦略策定や業績評価を行うこと ✓ 正答
解説
答えの導き方
BSC(バランススコアカード)という言葉が出てきたら、「財務だけでなく、バランスよく多角的に評価する」というキーワードを結びつけてください。選択肢の中で「財務」「複数の視点」という言葉が含まれているエが正解となります。
BSC(バランススコアカード)とは何か
BSCとは、企業の経営戦略を具体的に実行し、その成果を管理するための手法です。従来の経営評価は「売上」や「利益」といった財務面の数字に偏りがちでした。しかし、財務データはあくまで過去の結果であり、それだけでは「なぜその結果になったのか」や「将来の成長性」が見えにくいという欠点があります。
そこでBSCでは、以下の4つの視点からバランスよく業績を評価します。
- 財務の視点:売上や利益など、株主や投資家に対する成果
- 顧客の視点:顧客満足度や新規顧客獲得率など、顧客から見た評価
- 業務プロセスの視点:納期短縮や品質向上など、競争優位性を生むための業務効率
- 学習と成長の視点:従業員のスキル向上や情報システムの整備など、将来に向けた基盤
これらを連鎖的に考えることで、「従業員が成長する(学習と成長)から業務が改善し(プロセス)、顧客が満足し(顧客)、結果として利益が出る(財務)」という、戦略の因果関係を可視化します。
ビジネス現場での活用意義
この考え方は、単なる業績評価ツールにとどまりません。例えば、あるIT企業が「新しいサービスを開発してシェアを広げる」という戦略を立てたとします。
もし「財務」の視点だけで評価すると、短期間の利益を重視するあまり、研究開発費が削られてしまうかもしれません。しかしBSCを用いて「顧客満足度」や「開発者の技術習得状況(学習と成長)」をKPI(重要業績評価指標)として設定すれば、短期的な利益だけでなく、中長期的な競争力を維持するための具体的な行動指針が見えてきます。
ITパスポート試験でこの知識が問われるのは、経営戦略と情報システムが密接に関わっている現代において、システム導入が単なるコスト削減ではなく、企業の多角的な目標達成にどう寄与するかを理解しておく必要があるからです。