平成27年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問30 解説 コーポレートガバナンス
コーポレートガバナンスの観点から,経営の意思決定プロセスを監視・監督する 機能を強化する方法として,最も適切なものはどれか。
- ア 社長室への出入りを監視するためのカメラを設置する。
- イ 定期的に私立探偵に経営者の素行調査を依頼する。
- ウ 取締役の一部を社外取締役にする。 ✓ 正答
- エ 法学部出身者を内部監査部門の社員として雇用する。
解説
正解の判断基準
コーポレートガバナンスにおける監視・監督機能の強化とは、内部者(経営陣)だけで意思決定が行われないよう、外部の視点を取り入れることを指します。選択肢の中で、経営陣と利害関係のない第三者の立場から客観的な判断や監督を行う仕組みである「社外取締役」の導入が、この目的を達成するための最も標準的かつ効果的な手法となります。
コーポレートガバナンスとは何か
コーポレートガバナンスとは、日本語で「企業統治」と呼ばれます。会社は株主から出資を受けて経営を行っていますが、経営者が株主の利益を無視して私利私欲に走ったり、不適切な経営判断を行ったりすることを防ぐ必要があります。
企業が健全に運営され、長期間にわたって企業価値を向上させ続けるために、経営を監視し、適正なプロセスを確保するための仕組み全般を指します。最近では不祥事を防ぐだけでなく、持続可能な成長を実現するための経営基盤としても重要視されています。
なぜ社外取締役が必要なのか
社内の人間だけで構成された取締役会では、社長や経営陣の意向に逆らえない「馴れ合い」が発生するリスクがあります。これでは、間違った経営方針であっても誰も止められません。
ここで独立した立場の社外取締役が参加することで、以下のような効果が期待できます。
- 外部の視点:業界の常識や企業のしがらみに捉われない客観的な意見が反映される。
- 牽制機能:経営陣が独断的な決定を下そうとした際、ストップをかけたり、再考を促したりする圧力になる。
- 透明性の向上:第三者が会議に出席していることで、意思決定のプロセスそのものが適切に行われているという証明になる。
実社会での活用と試験の意図
ITパスポート試験でこの知識が問われるのは、IT部門やDX推進プロジェクトにおいても「ガバナンス」の考え方が不可欠だからです。
例えば、新しいITシステムの導入プロジェクトにおいて、システム部門の言いなりで予算が膨らんでいないか、リスク管理が適切か、経営陣が正しく監督しなければなりません。ガバナンスが欠如した組織では、どれほど優れたIT戦略を立てても、最終的な経営目標の達成やコンプライアンスの遵守が困難になります。
ビジネスの現場で「なぜこの会議に社外の人間を入れるのか」「なぜ決裁ルールが複雑なのか」という疑問に直面したとき、それがすべて「透明性を高め、不正を未然に防ぎ、企業価値を高めるためである」という本質を理解していることが、組織の一員としての評価につながります。