ITパスポート試験 / 平成27年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 / 問35
certification-simodake-work

平成27年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問35 解説 要件定義と実現性確認

システム要件定義の段階で,検討したシステム要件の技術的な実現性を確認するために有効な作業として,適切なものはどれか。

  1. 業務モデルの作成
  2. ファンクションポイントの算出
  3. プロトタイピングの実施 ✓ 正答
  4. 利用者の要求事項の収集

解説

正解の選び方

この問題は、要件定義における「技術的な実現性」というキーワードに注目します。「本当にそのシステムが作れるのか?」「想定している性能が出るのか?」という疑問を解消するためには、図面や文章で議論するよりも、実際に動くものを作って試すのが最も確実です。したがって、試作品(プロトタイプ)を作成するプロトタイピングが正解となります。

プロトタイピングとは何か

プロトタイピングとは、開発の初期段階でシステムの試作品を作り、ユーザーや開発者が実際に操作して確認する手法です。

システム開発において「実現性」を疑う場面は多くあります。例えば「最新のセンサーを使ってリアルタイムで処理をしたいが、通信速度が足りるか不安」「非常に複雑な処理だが、応答速度は許容範囲に収まるか」といったケースです。これらを頭の中だけで考えていても結論は出ません。プロトタイピングを行うことで、早い段階で「この技術なら実現可能である」「ここを改善しないと動かない」という判断を下せます。

なぜ他の選択肢では不十分なのか

選択肢の内容を個別に見ていくと、なぜプロトタイピングが最も有効なのかが分かります。

・業務モデルの作成 現在の業務の流れや、新しい業務のルールを整理するものです。「何をするか」という要求を明確にするためには役立ちますが、技術的に可能かどうかを検証する作業ではありません。

・ファンクションポイントの算出 システムの機能の数や複雑さから、開発規模を見積もる手法です。コストやスケジュールの管理には役立ちますが、技術的な実現性を確認するものではありません。

・利用者の要求事項の収集 インタビューやアンケートを通して、ユーザーが何を望んでいるかを聞き出す作業です。「何が必要か」を知るための作業であり、技術的な壁があるかどうかを確認するステップではありません。

実務におけるプロトタイピングの重要性

プロトタイピングは、システム開発の失敗を未然に防ぐ「リスクヘッジ」の手段として非常に重要です。

もし要件定義で技術的な懸念を放置したまま設計・開発に進んでしまうと、後戻りできない段階で「技術的に無理だった」という問題が発覚します。これは莫大なコストと時間の損失につながります。プロトタイプを通じて、開発者側は技術的な見通しを立て、ユーザー側はイメージ通りのものができるかを確認する。この双方の「すり合わせ」を行うことで、プロジェクトの成功確率を大幅に高めることができます。

現代のソフトウェア開発では、この手法をより推し進めた「アジャイル開発」なども一般的になっています。ITパスポート試験でも、「早い段階で確認を行う」というプロトタイピングのメリットは、プロジェクト管理や開発手法の文脈で頻出する重要な概念です。

参考リンク

学習の記録にははてなブックマーク!

気づいたこと・覚えたことをコメントにメモしよう