平成27年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問36 解説 ファシリティマネジメント
情報システムの設備を維持・保全するファシリティマネジメントに関する記述はどれか。
- 情報システムの開発プロジェクトを成功させるために,スケジュール,予算,人的資源などを管理する。
- 情報システムの障害監視やバックアップの取得などを管理する。
- 情報システムを稼働させているデータセンタなどの施設を管理する。 ✓ 正答
- 情報システムを使用するためのユーザIDとパスワードを管理する。
解説
選択肢の判断基準
ファシリティ(Facility)とは「施設・設備」を指す言葉です。そのため、情報システムにおけるファシリティマネジメントとは、システムが稼働するための物理的な基盤(データセンター、ビル、電源、空調など)を適切に管理することを意味します。選択肢の中から「施設」や「設備」というキーワードを含むものを選べば正解にたどり着けます。
ファシリティマネジメントが指すもの
ITシステムは空中に浮いているわけではなく、必ず物理的な場所で稼働しています。具体的には、サーバーを設置するデータセンターや、そのサーバーを動かすための電気設備、熱を逃がすための空調設備などが不可欠です。
ファシリティマネジメントとは、これらを単に設置するだけでなく、以下のような項目を維持・管理することを指します。
・電源設備:停電を防ぐための無停電電源装置(UPS)や発電機の整備 ・空調設備:サーバーが熱暴走しないように適した温度や湿度に保つこと ・物理的セキュリティ:データセンターへの入退室管理や、地震・火災対策
これらは「IT」そのものの管理というよりも、ITを支える「土台」の管理です。ここが崩れると、どれほど優れたソフトウェアを開発してもシステム全体が停止してしまうため、安定稼働のためには非常に重要な概念です。
他の選択肢が指す管理手法
今回の問題で登場した他の選択肢も、ITパスポート試験で頻出の管理用語です。混同しないように整理しておきましょう。
・情報システムの開発プロジェクトを管理:プロジェクトマネジメント スケジュールや予算、人員を調整し、開発プロジェクトを成功へと導く手法です。
・情報システムの障害監視やバックアップの取得などを管理:システム運用管理 システム稼働後の日常的な監視やメンテナンス、障害対応を指します。
・情報システムを使用するためのユーザIDとパスワードを管理:ID管理(アイデンティティ管理) 誰がどのシステムを使えるかという権限を管理し、不正アクセスを防ぐセキュリティ対策の一つです。
なぜこの知識が重要なのか
ITエンジニアやシステムの利用者は、普段「クラウド」や「ソフトウェア」といった目に見える論理的な世界で仕事をしがちです。しかし、実務の現場では「急な停電でビル全体が落ちた」「サーバー室の温度が上がりすぎて機器が故障した」といった物理的なトラブルが起こることがあります。
ファシリティマネジメントという視点を持つことは、システムを「論理」だけでなく「物理」の両面から捉える力があることを意味します。特にデータセンターの契約や、自社内にサーバーを設置する際の環境設計を考える上で、この知識は不可欠となります。システムを止めないための土台作りとして、非常に重要な基礎知識です。