平成27年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問37 解説 ITサービス継続性管理
ITサービスマネジメントにおけるITサービス継続性管理とは, 災害などの発生時 にビジネスへの悪影響を最小限にするための活動である。ITサービス継続性管理に おいてPDCAサイクルのA (Act) に該当するものはどれか。
- ア ITサービスを継続するための復旧方法などを定めた復旧計画書を策定する。
- イ 災害の発生を想定して, 要員に対する定期的な教育や訓練を実施する。
- ウ 復旧計画の内容についてレビューやテストを実施して検証する。
- エ レビューやテストの実施結果に基づいて, 必要であれば復旧計画書を見直す。 ✓ 正答
解説
PDCAサイクルで考えるITサービス継続性管理
この問題は、品質管理や業務改善の基本概念であるPDCAサイクルの各フェーズを、ITサービス継続性管理という特定の文脈に当てはめられるかを問うています。
選択肢を判断するポイントは、A(Act)が「改善・処置」の段階であることを理解しているかどうかです。PDCAサイクルにおいて、P(計画)、D(実行)、C(評価)を経た後に、その評価結果を基にして「次回の計画改善」や「現状の修正」を行うのがAの役割です。
ITサービス継続性管理におけるPDCAの各段階
ITサービス継続性管理とは、地震や火災などの大規模災害が発生した際にも、企業のビジネスを止めない、あるいは最小限の影響で済ませるための準備活動です。これをPDCAに当てはめると、以下のように整理できます。
P(Plan:計画):復旧計画書を策定する ITサービスをどのように復旧させるか、優先順位や手順、担当者、代替拠点を決定します。これが選択肢アの内容です。
D(Do:実行):教育や訓練を実施する 策定した計画が実際に機能するか、要員への教育や訓練を行います。これが選択肢イの内容です。
C(Check:評価):レビューやテストを実施する 訓練やテストを通じて、計画通りに動けるか、想定通りの時間で復旧できるかを検証します。これが選択肢ウの内容です。
A(Act:改善):計画を見直す 検証の結果、課題や改善点が見つかった場合、それを計画にフィードバックして修正を行います。これが選択肢エの内容です。
なぜこの知識が重要なのか
ITサービス継続性管理は「作って終わり」では意味がありません。災害は想定外の状況を伴うため、一度決めた計画も、組織の変化やシステムの更改に合わせて常に最新の状態に保つ必要があります。
実務においては、システム構成が変わったにもかかわらず復旧計画書が古いままになっており、いざという時に全く役に立たなかったという事態がしばしば発生します。この問題の教育的意図は、PDCAを回すことによって「一度作った計画を、環境の変化やテスト結果に応じて絶えず最新化し、最適化し続けることの重要性」を理解させる点にあります。この考え方はITパスポートだけでなく、日々の業務改善やプロジェクト運営全般に応用できる汎用的なフレームワークです。