平成27年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問44 解説 ITサービスマネジメント
ITサービスマネジメントにおいて,インシデントの根本原因を解決して再発を防 止することを活動目的とするプロセスとして,適切なものはどれか。
- インシデント管理
- 変更管理
- 問題管理 ✓ 正答
- リリース管理
解説
一言でわかる正解の選び方
インシデント管理は「とりあえずサービスを復旧させること」が目的ですが、問題管理は「なぜ起きたのか(根本原因)を突き止め、再発しないようにすること」が目的です。「再発防止」というキーワードを見つけたら、迷わず「問題管理」を選びましょう。
インシデント管理と問題管理の違い
ITサービスマネジメント(ITIL)において、この2つは混同されやすいですが、役割は明確に分かれています。
インシデント管理の主眼は、システム障害などの異常が発生した際に、利用者にできるだけ早く通常業務に戻ってもらうことです。例えば「メールが送れない」という連絡に対して、「一時的にブラウザ版を使ってください」と案内するような、スピード重視の応急処置がこれにあたります。
一方、問題管理は、インシデント管理で一時的に復旧させたものを含め、「なぜその不具合が起きたのか?」という真因を調査します。「プログラムのバグが原因であれば修正パッチを当てる」「サーバーのスペック不足であれば増強する」といった、根本的な解決策を講じるのが問題管理の役割です。
なぜこの知識が実務で重要なのか
IT現場では、同じトラブルが何度も繰り返されると、利用者の信頼を大きく損ないます。
例えば、毎朝特定の時間にシステムが重くなるというインシデントが発生したとします。インシデント管理だけでは「サーバーを再起動して復旧」を繰り返すことになりますが、これでは根本的な解決になりません。問題管理の視点を持つ担当者がいれば、「毎日この時間にバックアップ処理が走っていることが原因だ」と突き止め、「バックアップの時間をずらす」という対策を打つことができます。
このプロセスを理解しておくことは、単に試験に合格するためだけでなく、トラブルが起きた際に「その場しのぎ」で終わらせず、システムの品質と安定性を向上させるための「改善の思考法」を身につけることにつながります。
他の選択肢が誤りである理由
- インシデント管理: あくまで「早期復旧」が目的であり、根本原因の追及には重きを置いていません。
- 変更管理: システムの設定変更や構成変更が適切に行われるよう「リスクをコントロールし、承認する」プロセスです。根本解決策を実行する際に変更管理が必要になることはありますが、プロセスそのものの目的は「変更の制御」です。
- リリース管理: 変更された機能や修正パッチなどを、計画的に本番環境へ「導入・配布」するプロセスです。