平成27年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問45 解説 WBSの定義
プロジェクトチームが実行する作業を,階層的に要素分解した図表はどれか。
- DFD
- WBS ✓ 正答
- アローダイアグラム
- マイルストーンチャート
解説
解き方:キーワードの「階層的」と「要素分解」に着目する
この問題の正解はWBSです。「作業を階層的に分解」というキーワードが出てきたら、迷わずWBSを選んでください。他の選択肢はすべて「プロジェクト管理」で使われる手法ですが、それぞれ目的が明確に異なります。
WBSとは何か
WBSはWork Breakdown Structureの略で、日本語では「作業分解図」と呼びます。プロジェクトの最終成果物を完成させるために必要なすべての作業(ワーク)を、細かい単位に分解(ブレイクダウン)し、階層構造(ストラクチャー)で整理したものです。
家を建てる例で考えるとわかりやすくなります。
- 第一階層:家を建てる
- 第二階層:基礎工事、構造工事、内装工事
- 第三階層:内装工事を「床張り」「壁紙貼り」「電気配線」に分解
このように、大きな塊を小さな作業単位にまで分解していくことで、「何を」「どこまで」やらなければならないのかを明確にします。これがWBSの役割です。
なぜ他の選択肢ではいけないのか
プロジェクト管理において、似たような図表が登場するため混同しやすいですが、それぞれ以下の役割があります。
- DFD(Data Flow Diagram):データの流れを可視化した図です。「作業」ではなく、データがどこから来て、どの処理を通り、どこへ行くかという「流れ」に注目します。
- アローダイアグラム:作業の順序や依存関係、所要時間を矢印でつなぐ図です。どの作業が遅れると全体が遅れるかという「スケジュール管理」が目的です。
- マイルストーンチャート:プロジェクトの重要な節目(マイルストーン)をプロットした進捗管理図です。詳細な作業分解ではなく、完了期限などの「チェックポイント」を示すものです。
実務での活用意義
ITパスポート試験においてこの知識が重要視されるのは、プロジェクトマネジメントの基本が「計画」にあるからです。
プロジェクトを失敗させる最大の原因は「何をすべきか(作業範囲)」が曖昧なまま進めてしまうことです。WBSを作成すれば、漏れなく作業を洗い出すことができます。また、分解された各作業の担当者や必要な期間を割り当てることで、初めて現実的なスケジュールが立てられるようになります。
WBSは単なる図表作成のための作業ではなく、プロジェクトの複雑さを解きほぐし、チーム全員が同じ目線で取り組めるようにするための「地図」を作る工程なのです。