平成28年度 秋期 ITパスポート試験 公開問題 問1 解説 労働者派遣
労働者派遣に関する説明のうち,適切なものはどれか。
- ア 業務の種類によらず,派遣期間の制限はない。
- イ 派遣契約の種類によらず,派遣労働者の選任は派遣先が行う。
- ウ 派遣先が派遣労働者に給与を支払う。
- エ 派遣労働者であった者を,派遣元との雇用期間が終了後,派遣先が雇用してもよい。 ✓ 正答
解説
正解への道筋
労働者派遣に関する正しい選択肢を選ぶためには、派遣元(派遣会社)、派遣先(実際に働く場所)、そして派遣労働者の3者の関係性とルールを整理することが重要です。この問題は「誰が雇い主か」「誰が給与を払うのか」「期間の制限はあるか」という基本項目を確認することで正解を導き出せます。
派遣の仕組みとそれぞれの役割
労働者派遣契約において、労働者の雇用主はあくまで「派遣元」です。派遣先は労働者の指揮命令権を持ちますが、直接的な雇用契約関係はありません。
ア:派遣期間には制限があります。原則として同一の事業所・同一の業務において派遣を受けられる期間は3年が上限です。したがって「制限はない」とする選択肢は誤りです。
イ:派遣労働者の選任(選んで送り出すこと)を行うのは「派遣元」です。派遣先が労働者を指名して選別することは、事前の面接禁止などのルールにより原則として認められていません。
ウ:給与を支払うのは、雇用契約を結んでいる「派遣元」です。派遣先が支払うのは、労働者に対する給与ではなく、派遣元に対する「派遣料金」です。
エ:派遣元との契約が終了した後に、派遣先がその労働者を直接雇用することは法的に何ら問題ありません。かつては制限がありましたが、現在は派遣労働者のキャリア形成や雇用の安定のために推奨すらされています。これが正しい記述です。
労働者派遣を知る意義
労働者派遣法の知識は、将来的にIT業界で働く際に非常に重要です。IT業界ではSES(システムエンジニアリングサービス)や労働者派遣といった多様な働き方が存在します。
特に「誰が給与を支払い、誰が指揮命令をするのか」という契約形態の違いを理解しておくことは、自分自身の労働条件を確認する際や、トラブルを回避するために不可欠です。また、派遣先での直接雇用が法律で認められていることを知っておけば、将来的に現場で高く評価された際、派遣先企業への転籍や直接雇用といったキャリアの選択肢を広げるきっかけにもなります。
この問題の教育的意図は、単なる用語暗記ではなく、労働形態の基本構造を正しく理解し、IT技術者として働く際の自身の立場を適切に把握できるようになることにあります。