平成28年度 秋期 ITパスポート試験 公開問題 問6 解説 費用対効果の評価指標
システム化計画において,情報システムの費用対効果を評価する。その評価指標として,適切なものはどれか。
- ア PER
- イ ROI ✓ 正答
- ウ 自己資本比率
- エ 流動比率
解説
費用対効果=ROIと即答するコツ
システム開発の費用対効果を問われたら、まずは「ROI(投資利益率)」を探しましょう。ROIは「投資した金額に対して、どれだけの利益を回収できたか」をパーセントで示す指標です。
選択肢にある他の言葉はすべて「財務諸表分析(企業の健康診断)」で使われる指標であり、システムそのものの効果を測る尺度ではありません。問題文にある「情報システムの費用対効果」というキーワードと、ROIという言葉をセットで記憶しておくのが、この問題を解く最短ルートです。
投資の成否を測るROIの考え方
ROI(Return on Investment)の算出式は以下の通りです。
例えば、ある業務効率化システムに100万円を投資した結果、業務が効率化されて年間で30万円のコスト削減(=利益)が生まれた場合、ROIは30%となります。この数字が高いほど、そのシステムは効率よく利益を生み出していると判断されます。
経営陣やシステム企画担当者が新しいシステムを導入しようとする際、これにお金を払う価値があるのかどうかを客観的に説明するために、この指標が極めて重要になります。
なぜ他の選択肢は間違いなのか
本問の選択肢にある他の指標は、経営状態を分析するためのものです。ITパスポート試験では、これらも頻出用語ですので混同しないようにしましょう。
- PER(株価収益率): 株価が利益の何倍まで買われているかを示す、投資家向けの指標です。
- 自己資本比率: 総資本のうち、返済不要な自己資本がどれだけあるかを示す、企業の安全性を見る指標です。
- 流動比率: 短期間で支払うべき負債に対して、どれだけすぐに現金化できる資産があるかを示す、企業の支払い能力を見る指標です。
これらはすべて「会社全体」の健康状態を見るための指標であり、個別のプロジェクトやシステム開発の「効率」を直接評価するためのものではありません。
教育的意図と実務での活用
この問題は、ITエンジニアや企画担当者が「技術の良し悪し」だけでなく「経営的な視点」を持つことを求めています。
企業においてIT投資は多額の費用がかかります。単に「便利なシステムを作る」だけでなく、「このシステムを導入することで、具体的にどれだけコストが浮くのか、あるいは売上が増えるのか」を数値で提示できなければ、投資の承認を得ることはできません。ROIを計算できるようになることは、ビジネスパーソンとしてプロジェクトの正当性を証明するための必須スキルといえます。