平成28年度 秋期 ITパスポート試験 公開問題 問39 解説 プロジェクトのコスト超過
20本のプログラムを作成するに当たり,プログラム1本につき,作業期間が1日,コストが4万円と見積もり,作成に着手した。開始からの10日間で8本作成し,累積コストは36万円になっていた。残りのプログラムは未着手である。このままの生産性で進めると,見積りに対する超過コストは最終的に何万円になるか。
- ア 4
- イ 6
- ウ 10 ✓ 正答
- エ 18
解説
この問題は、プロジェクトの途中で発生した実績をもとに、最終的なコスト超過額を予測する能力を問うものです。計算は以下の手順で行います。
まず、開始からの10日間で8本のプログラムが作成され、累積コストが36万円であったという情報から、プログラム1本あたりの実績コストを算出します。
次に、残りのプログラムが何本あるかを確認します。当初の計画では20本のプログラムを作成する予定で、現在8本が完了しているので、残り12本です。
この残りの12本のプログラムも、現在の生産性(1本あたり4.5万円)で作成が進むと仮定して、追加でかかるコストを算出します。
プロジェクト全体の最終的な総コストは、これまでの累積コストと残りのプログラムにかかるコストの合計です。
当初の見積もりでは、プログラム1本あたりのコストが4万円で、全部で20本作成する予定でした。当初の見積もり総コストを算出します。
最後に、最終的な総コストと当初の見積もり総コストを比較し、超過する金額を求めます。
したがって、見積りに対する超過コストは最終的に10万円になります。
プロジェクトにおけるコスト管理の重要性
この問題は、ITパスポート試験のシラバスでいう「プロジェクトマネジメント」の分野、特に「プロジェクトコストマネジメント」に関する知識を問うものです。システム開発プロジェクトでは、計画段階で期間やコストを見積もりますが、プロジェクトが進行する中で、様々な要因によって計画通りに進まないことがよくあります。
見積もりと実績の乖離から学ぶこと
プロジェクトの初期段階での見積もりは、あくまで「計画」であり、不確実性を含んでいます。例えば、今回の問題では、当初1本4万円と見積もっていたコストが、実際に作業を進めてみると1本4.5万円かかっていることが判明しました。これは、当初想定していなかった作業の複雑さ、予期せぬトラブル、あるいは見積もり自体の精度が低かったなど、様々な原因が考えられます。
プロジェクトマネージャーやチームメンバーは、こうした実績と計画との乖離を早期に把握し、その原因を分析し、将来的な影響を予測する能力が求められます。この問題で計算したように、「このままのペースで進んだ場合、最終的にいくら超過するのか」を具体的に数値で示すことで、早期に手を打つための根拠とすることができます。
早期予測と意思決定への活用
もし、プロジェクトの途中で大幅なコスト超過が予測された場合、プロジェクトマネージャーは様々な意思決定を迫られることになります。例えば、以下のような対応が考えられます。
- 予算の追加要求: 追加の費用を承認してもらう。
- スコープ(範囲)の調整: 機能の一部を見送るなど、プロジェクトの範囲を縮小してコストを抑える。
- 資源の再配分: 作業効率を見直し、人員や設備の最適な配置を検討する。
- プロセスの改善: 作業方法そのものを見直して生産性を向上させる。
この問題のように、現在の実績に基づいて将来を予測する手法は、EVM(アーンド・バリュー・マネジメント)などのより高度なプロジェクト管理手法の基礎にもなっています。ITパスポート試験では、高度な手法そのものを問うよりも、その根底にある「現状を把握し、未来を予測し、適切な手を打つ」という基本的な考え方を理解しているかが重要です。
実際のITプロジェクトでは、スケジュール遅延や品質問題と並んで、コスト超過は最も一般的な問題の一つです。そのため、ITに携わるすべての人が、この問題で示されたようなコスト管理の基礎を理解しておくことが、プロジェクト成功の鍵となります。