平成28年度 秋期 ITパスポート試験 公開問題 問52 解説 プロジェクトマネジメント計画書
プロジェクトが発足したときに,プロジェクトマネージャがプロジェクト運営を 行うために作成するものはどれか。
- ア 提案依頼書
- イ プロジェクト実施報告書
- ウ プロジェクトマネジメント計画書 ✓ 正答
- エ 要件定義書
解説
プロジェクトが発足したときに、プロジェクトマネージャがプロジェクト運営のために作成するものを問うこの問題では、それぞれの選択肢がプロジェクトのどの段階で、どのような目的で使われる文書なのかを理解しているかが鍵となります。
問題文の「プロジェクトが発足したときに」「プロジェクト運営を行うために作成する」というキーワードに着目しましょう。「運営を行うため」には、まずその進め方を定める「計画」が必要です。選択肢「ウ プロジェクトマネジメント計画書」は、まさにプロジェクトの実行、監視、コントロール、終結といった運営に関する全ての方法を定義する文書であり、プロジェクトの出発点となる計画を明文化したものです。このタイミングで作成されるべきものとして、最も適切です。
プロジェクトマネジメント計画書とは
プロジェクトマネジメント計画書は、プロジェクトの目標達成に向けて、どのようにプロジェクトを進めていくのかを具体的に定めた最上位の計画書です。これは単なる作業スケジュールの羅列にとどまらず、プロジェクトのあらゆる側面、例えば、スコープ(何を作るか)、スケジュール(いつまでにやるか)、コスト(いくらかけるか)、品質(どのレベルの品質を目指すか)、資源(人、物、金)、コミュニケーション(どのように情報共有するか)、リスク(どのような問題が起きうるか)、調達(外部から何を入れるか)、ステークホルダー(誰が関係するか)といった、多岐にわたる管理計画が記述されます。
この計画書が重要なのは、プロジェクトメンバーや関係者(ステークホルダー)全員が、プロジェクトの方向性、進め方、責任範囲、そして成功の基準を共通認識として持つための基準となるからです。プロジェクトが発足した初期段階で作成され、その後のすべてのプロジェクト活動の指針となります。また、一度作成したら終わりではなく、プロジェクトの進捗や状況の変化に応じて、適切に更新していく「生きている文書」として扱われることも特徴です。計画書は、プロジェクトを適切に導き、コントロールするための羅針盤のような役割を果たします。
他の選択肢と作成タイミング
それぞれの選択肢がどのような文書であり、プロジェクトのどの段階で作成されるかを見てみましょう。
- ア 提案依頼書 (RFP: Request For Proposal) これは、自社で開発・構築するのではなく、外部のベンダーにシステム開発やサービス提供を依頼する際に、ベンダーに対して具体的な提案を求めるための文書です。プロジェクトが発足し、計画が動き出す「前」の、ベンダー選定のプロセスなどで活用されます。
- イ プロジェクト実施報告書 プロジェクトが「完了した後」に、プロジェクトの成果、目標達成度、発生した課題とその対応、得られた教訓などをまとめる文書です。今後のプロジェクトに役立てるための知見を蓄積する目的で作成されます。
- エ 要件定義書 開発するシステムやサービスが「何をできるべきか(機能要件)」や「どのように動作すべきか(非機能要件)」といった、具体的なニーズや要求事項を明確にする文書です。これはプロジェクトの「計画フェーズの一部」として、あるいは「実行フェーズの初期」に作成される重要な文書ですが、プロジェクト全体の運営計画そのものではありません。プロジェクトマネジメント計画書の中に「要件定義をどのように進めるか」という項目が含まれることはありますが、要件定義書自体は、プロジェクトのより具体的な成果物(システムやサービス)の側面に焦点を当てています。
なぜITパスポート試験で問われるのか
この問題は、プロジェクトマネジメントに関する基本的な知識、特にプロジェクトのライフサイクルと、各フェーズでどのような重要な文書が作成されるかを理解しているかを確認することを目的としています。ITパスポート試験では、IT技術だけでなく、プロジェクトを適切に進めるための管理能力も問われます。
プロジェクトマネジメント計画書を理解することは、あなたが将来IT関連の仕事に就いた際に、どのようなプロジェクトにおいても、まず「どのように進めるのか」という計画を立てることの重要性を認識し、メンバーとして、あるいはプロジェクトマネージャとして、プロジェクトを円滑に進める上で不可欠な基礎知識となります。計画なくして成功はありません。この知識は、日々の業務におけるタスク管理や、より大きなプロジェクトへの参画において、あなたの行動の指針となるでしょう。