平成28年度 春期 ITパスポート試験 問26 解説 職務分掌の定義
会社を組織的に運営するためのルールのうち,職務分掌を説明したものはどれか。
- ア 会社の基本となる経営組織,職制を定めたもの
- イ 各部門の職務の内容と責任及び権限を定めたもの ✓ 正答
- ウ 従業員の労働条件などの就業に関する事項を定めたもの
- エ 法令,各種規則や社会的規範に照らして正しく行動することを定めたもの
解説
職務分掌を識別するポイント
職務分掌という言葉は「職務(仕事)」を「分掌(分担し管理する)」と分解して考えると直感的です。誰が何をして、どこまで決定できるのかを明確に定めたルールを探せば、正解である「イ」にたどり着きます。
職務分掌とは何か
職務分掌(しょくむぶんしょう)とは、組織において誰がどの業務を担当し、どのような権限を持って責任を負うかを明確にする仕組みのことです。
会社には、営業、経理、総務、開発といった様々な部署があります。もし「誰がどの決裁権を持っているか」「この仕事の責任者は誰か」が曖昧だと、以下のような弊害が発生します。
・複数の人が同じ業務をしてしまい効率が落ちる ・誰も担当していない業務が発生し、必要な仕事が放置される ・トラブルが発生した際に責任の所在が不明確で対応が遅れる
これらを防ぐために、組織図と連動させて、各ポストや部門ごとの担当範囲を定義するのが職務分掌です。
組織運営におけるルールの分類
この問題では、選択肢に挙げられた他のルールが何を指しているのかを理解しておくことで、正答率が大きく上がります。
ア:経営組織や職制(誰が誰の上司か、どの部署がどの部署の上にあるかという構造)を定めたものは、組織規程や組織図と呼ばれます。 ウ:労働条件や就業規則に関することは、労働基準法で義務付けられた就業規則の内容です。 エ:法令順守や倫理的な行動に関するものは、コンプライアンス規程や行動規範と呼ばれます。
これらの「ガバナンス(組織を統治するための仕組み)」に関わる用語は、ITパスポート試験で頻出です。単なる暗記ではなく、「このルールは何のために存在するのか」という目的を意識すると、実務とリンクして記憶に定着しやすくなります。
職務分掌が求められる背景
職務分掌は、大企業だけでなく、比較的小さな組織であっても不可欠です。例えばIT現場であれば、システム開発の工程において「設計者」と「テスト実施者」をあえて分けることがあります。これは職務分掌に基づいた「牽制」の仕組みであり、不正な改ざんを防ぐ内部統制の一部として機能します。
このように、職務分掌は単なる事務作業の分担表ではなく、企業のリスク管理や生産性向上のための重要な経営基盤であることを理解しておきましょう。