平成28年度 春期 ITパスポート試験 問36 解説 可用性管理の目的
ITサービスマネジメントにおける可用性管理の目的として,適切なものはどれか。
- ア.ITサービスを提供する上で,目標とする稼働率を達成する。 ✓ 正答
- イ.ITサービスを提供するシステムの変更を,確実に実施する。
- ウ.サービス停止の根本原因を究明し,再発を防止する。
- エ.停止したサービスを可能な限り迅速に回復させる。
解説
正解の判断根拠
この問題は、ITIL(IT Infrastructure Library)におけるITサービスマネジメントの各プロセスの定義を問うものです。可用性管理のキーワードは「稼働率の維持・達成」です。選択肢の中で、システムが継続して使える状態を確保することに直結する項目を選ぶことで正解にたどり着けます。
可用性管理とは何か
可用性管理(Availability Management)とは、ITサービスが利用者に合意されたレベルで、継続して利用できることを保証する活動です。
可用性とは、簡単に言えば「システムがどれだけ止めずに動き続けているか」を指す指標です。ビジネスにおいてシステムが停止することは、売り上げの損失や顧客の信頼低下を意味します。そのため、あらかじめ「このシステムは何%の時間動かしておく」という目標(稼働率)を定め、その目標をクリアし続けるために計画を立て、設計し、監視することが可用性管理の役割です。
ほかの選択肢が誤りである理由
ITパスポート試験では、似たような言葉が多く登場する「ITサービスマネジメントのプロセス」の整理が重要です。
- イの「変更を確実に実施する」は変更管理の目的です。システムに手を入れる際に、リスクを評価し、承認プロセスを経てトラブルなく作業を進めることが目的となります。
- ウの「根本原因を究明し,再発を防止する」は問題管理の目的です。インシデント(トラブル)が起きた際に、その背後にある根本的な原因(問題)を突き止め、解決策を見つける活動を指します。
- エの「サービスを可能な限り迅速に回復させる」はインシデント管理の目的です。起きてしまったトラブルに対し、まずは応急処置をしてサービスを素早く復旧させることを最優先にします。
このように、「稼働率維持(可用性)」「変更のコントロール(変更管理)」「原因究明(問題管理)」「復旧(インシデント管理)」というように、それぞれの用語が持つ目的をセットで覚えておくと、迷わず回答できるようになります。
実務における可用性管理の重要性
実務において、可用性管理はシステムの設計段階から重要視されます。例えば、サーバーが1台だけだと、そのサーバーが故障した瞬間にサービスが止まってしまいます。これを防ぐために、あらかじめサーバーを冗長化(予備を用意して複数台にする)したり、データセンターを地理的に離して災害対策を行ったりします。
これらはすべて「目標とする稼働率を達成するため」の技術的な取り組みです。ITパスポートでこの知識を学ぶ意義は、ITシステムを単に「動かす」だけでなく、「ビジネス上の要請に応じた信頼性を持って運用する」というマネジメントの視点を養うことにあります。