ITパスポート試験 / 平成28年度 春期 ITパスポート試験 / 問51
certification-simodake-work

平成28年度 春期 ITパスポート試験 問51 解説 システム調達の要件判断

ある企業では, 現在使用しているメールシステムのサポート終了に伴い, 新メールシステムに移行する移行プロジェクトを実施している。プロジェクトの要件定義工程において, 新メールシステムとして採用する市販のソフトウェアパッケージを選定し, そのパッケージを利用する際に考慮する必要がある条件を整理した。今回のプロジェクトは, 移行作業を現行システムのサポート終了までに確実に実施する必要があるが, 外部へ支出する費用はできるだけ安くしたい。次のa〜dのうち, 条件を考慮した上で外部から調達する必要があるものだけを全て挙げたものはどれか。 〔条件〕 ・新メールシステムは自社の既存サーバで稼働させる。 ・採用するソフトウェアパッケージは自社で保有していない。 ・採用するソフトウェアパッケージを利用して新メールシステムを構築するスキルをもった要員が, 自社にはいない。 ・移行するメールのデータには, 機密データが含まれている。 ・メールのデータを移行するためのツールが市販されており, そのツールは自社の要員が使用することができる。 a 新メールシステムが稼働するサーバ b 新メールシステムの構築作業 c 新メールシステムのソフトウェアパッケージ d 新メールシステムへのデータ移行作業

  1. a, b, c
  2. a, b, c, d
  3. b, c ✓ 正答
  4. c

解説

この問題は、プロジェクトに必要なリソースのうち、自社で調達できるものと外部へ委託・購入すべきものを切り分ける思考力を問うています。

正解にたどり着くための判断基準は、現状リソースの不足状況とコストのバランスです。「外部へ支出する費用はできるだけ安くしたい」という制約があるため、自社で対応可能なものは内製化し、どうしても自社で賄えないものだけを外部から調達するという消去法で考えます。

外部調達が必要な要素の切り分け

提示された条件をもとに、各選択肢を検討します。

a 新メールシステムが稼働するサーバ 条件に「新メールシステムは自社の既存サーバで稼働させる」とあります。すでに自社にあるリソースを利用するため、外部から調達する必要はありません。

b 新メールシステムの構築作業 条件に「そのパッケージを利用して新メールシステムを構築するスキルをもった要員が、自社にはいない」とあります。自社にスキルがない以上、プロジェクトを確実に成功させるためには、この作業を外部の専門家に依頼するしかありません。よって調達が必要です。

c 新メールシステムのソフトウェアパッケージ 条件に「採用するソフトウェアパッケージは自社で保有していない」とあります。ソフトウェアを利用するにはライセンスを購入する必要があるため、外部から調達が必須となります。

d メールシステムへのデータ移行作業 条件に「メールのデータを移行するためのツールが市販されており、そのツールは自社の要員が使用することができる」とあります。自社の要員で対応可能な作業であるため、コスト削減の観点から外部委託は不要と判断します。

以上より、外部から調達が必要なのは b と c のみとなります。

なぜこの視点が重要なのか

ITプロジェクトの管理において、リソースの調達計画は成否を分ける重要なプロセスです。すべての工程を外部に丸投げすれば簡単かもしれませんが、それは多額の費用を要し、コスト目標を達成できません。逆に、すべての工程を自社で抱え込もうとすれば、スキルの欠如や工数の過大により、期限内のプロジェクト完遂が困難になります。

この問題の教育的意図は、何でも外部に出すのではなく、自社の強み(保有している技術や既存資産)と弱み(不足しているスキルや未所有の資産)を冷静に分析し、必要な部分にだけ投資するという「適切なリソース配分」の考え方を養うことにあります。

実務においては、このように要件定義の段階で「自社対応可能な範囲」を明確化しておくことで、無駄な外部支出を防ぎつつ、プロジェクトのリスクを適切に制御することができます。プロジェクトマネジメントの基礎として、非常に実践的な考え方です。

参考リンク

学習の記録にははてなブックマーク!

気づいたこと・覚えたことをコメントにメモしよう