平成28年度 春期 ITパスポート試験 問52 解説 作業の所要日数
次の表に示す作業全体の最短の所要日数を増やすことなく作業Eの所要日数を増やしたい。最大何日増やすことができるか。
- ア 0
- イ 1
- ウ 2 ✓ 正答
- エ 3
解説
最短所要日数を維持したまま作業Eの期間を延長できる日数を求めるには、まず全体のスケジュールを支配している「クリティカルパス」を特定し、作業Eが含まれる経路がどれだけ「余裕」を持っているかを計算します。
ステップ1:各経路の所要日数を計算する
表の前提条件から、以下の作業の流れを確認します。 ・作業A:単独で7日 ・作業B→作業E:4日 + 1日 = 5日 ・作業C→作業D→作業E:2日 + 1日 + 1日 = 4日
ステップ2:クリティカルパスの特定
全体の所要日数は、もっとも時間がかかる経路(クリティカルパス)によって決まります。 この場合、もっとも日数が長いのは作業Aの「7日」です。これが全体の最短所要日数となります。
ステップ3:余裕期間(フリーフロート)の計算
作業Eが含まれる経路の中で、もっとも時間が長いのは「B→E」の5日です。 全体の制限である7日から、現在の経路の合計5日を引くと、余裕期間は以下のようになります。
したがって、作業Eの期間を2日分延ばしても、その経路全体の合計は7日となり、クリティカルパスである作業Aの7日を超えないため、全体の所要日数に影響を与えません。
アローダイアグラムとクリティカルパスの考え方
プロジェクト管理において、アローダイアグラムは作業の順序と依存関係を可視化する手法です。今回のように、複数の作業が並行して進む場合、最も期間が長い経路がプロジェクト全体の完了日を決定づけます。この最長経路を「クリティカルパス」と呼びます。
クリティカルパス上の作業が1日でも遅れると、プロジェクト全体の完了も遅れてしまいます。一方で、それ以外の経路には「余裕」が存在します。この余裕は、リソースを他のタスクに回したり、予期せぬトラブルが発生した際の時間調整に使われたりします。
実務における重要性
この知識は、プロジェクトマネジメントの現場で非常に重要です。例えば、開発現場で「納期が厳しいタスク」と「多少の遅れが許容されるタスク」を見分ける際、この計算が役立ちます。もし作業Eが、他の重要な作業の待ち時間になっているような状況であれば、今回の余裕期間(2日)を使って、より丁寧なチェックを行う、あるいは担当者に休憩を挟ませてミスを防ぐといった調整が可能になります。
試験においてこの問題は、単に計算ができるかだけでなく、プロジェクト全体のボトルネックを正しく見極め、全体最適の視点でスケジュールをコントロールできるかという能力を問うています。