平成28年度 春期 ITパスポート試験 問60 解説 システムの稼働率
同じ装置が複数接続されているシステム構成a~cについて, 稼働率が高い順に並べたものはどれか。ここで, ――は装置を表し, 並列に接続されている場合はいずれか一つの装置が動作していればよく, 直列に接続されている場合は全ての装置が動作していなければならない。
- ア a, b, c
- イ b, a, c
- ウ c, a, b
- エ c, b, a ✓ 正答
解説
この問題は、システムの「直列接続」と「並列接続」における稼働率の性質を理解しているかで正解が決まります。
効率的な解き方は以下の通りです。
- 直列接続はすべての装置が動かないとシステム全体が停止するため、稼働率が下がると判断します。
- 並列接続はどれか一つでも動いていればよいため、稼働率が上がると判断します。
- 並列する装置の数が多いほど、どれか一つが動いている可能性が高まるため、稼働率はさらに高くなります。
今回の構成を見ると、cは3つが並列、bは2つが並列、aは2つが直列となっているため、稼働率が高い順に並べると c, b, a となります。
直列と並列の稼働率の考え方
ITシステムにおける稼働率は、0から1の範囲の値(またはパーセンテージ)で表されます。装置の稼働率を とすると、それぞれの接続形態では以下の計算式が適用されます。
直列接続の場合: すべての装置が稼働する必要があるため、掛け算の結果、個々の装置の稼働率よりも必ず値が小さくなります。例えば、0.9の稼働率を持つ装置を直列に2つ繋ぐと、 となり、システム全体の信頼性は低下します。
並列接続の場合: すべての装置が同時に故障しなければシステムは動き続けるため、冗長構成として稼働率を高めることができます。例えば、0.9の装置を2つ並列にすると、 となり、単体よりも稼働率が向上します。
実務での活用と教育的意図
この概念は、実際のシステム設計における「可用性」の設計で極めて重要です。重要なデータベースやサーバーを構築する際、単一障害点(Single Point of Failure)をなくすために、あえて同じ装置を複数台並列に配置し、片方が故障しても業務が継続できるようにする「冗長化」という手法がとられます。
試験においてこの問題が出題される意図は、単なる計算能力を問うことではなく、「冗長構成を組むことでシステム全体の信頼性をコントロールする」というITエンジニアの基本的な設計思考を身につけてほしいという点にあります。直列は弱点を増やし、並列は安全装置を増やすという感覚を掴むことが、合格への近道です。