平成29年度 秋期 ITパスポート試験 公開問題 問48 解説 プロジェクトの通信
システム開発プロジェクトにおいて,プロジェクトマネージャはプロジェクトメンバに対して,適切なコミュニケーションを取る必要がある。プロジェクトメンバとのコミュニケーションに関して考慮すべき事項として,適切なものはどれか。
- ア 機密性を重視する場合はプロジェクトメンバを限定した会議を開催する,効率性を重視する場合は電子メールの同報機能を利用するなど,コミュニケーションする情報に応じて方法を選択すべきである。 ✓ 正答
- イ 緊急性や機密性よりも効率性を重視し,常に電子メールや電子掲示板などのコミュニケーション方法を使用すべきである。
- ウ 公平性を維持するために,プロジェクト外部のステークホルダとプロジェクトメンバに対して常に同じ方法,同じ資料を用いてコミュニケーションを取る必要がある。
- エ プロジェクトメンバに情報を発信する場合は,情報を受け取る義務がプロジェクトメンバにあるので,情報を受け取ったことを確認する必要はない。
解説
この問題は、プロジェクトマネジメントにおけるコミュニケーションの「最適化」を問うものです。正解を導くための判断基準は、その情報がどのような性質(機密性・緊急性・重要度)を持っているかを見極め、手段を使い分けるという柔軟な考え方を持つことです。
コミュニケーション手法の選択基準 プロジェクトにおけるコミュニケーションには万能な手段は存在しません。情報の内容によって適切な手段は変化します。
機密性が高い情報:情報漏えいを防ぐため、参加者を限定した会議や対面での話し合いが適しています。電子メールや掲示板など、誰が閲覧できるか制御しにくい手段は避けるべきです。 効率性が求められる情報:周知事項や単純な業務連絡であれば、電子メールの同報機能やチャットツール、掲示板を使うのが適しています。これらは一度の操作で多くのメンバーに情報を届けられるため、時間と労力を削減できます。 緊急性が高い情報:チャットや電話、直接の声掛けなど、相手に即座に気づいてもらえる手段が必要です。メールのように相手がいつ読むか分からない手段は不適切です。
選択肢の検討 選択肢イは、効率性のみを追求して機密性を軽視しているため誤りです。常に電子メールや掲示板を使うと、極秘事項が誰の目にも触れる状態になり、重大なリスクを招きます。
選択肢ウは、公平性を重視するあまり手段を固定化していますが、外部ステークホルダ(顧客や経営層など)と内部メンバーでは情報の機密レベルや役割が異なります。相手に合わせた伝達方法をとることがマネジメントの基本です。
選択肢エは、コミュニケーションの目的を誤解しています。情報は送れば終わりではなく、相手が正しく理解したか(了解したか)を確認して初めて完結します。情報を受け取る義務云々以前に、プロジェクトを円滑に進めるための「双方向性」を欠いています。
実際の現場での適用例 実際の開発現場では、以下のように使い分けを行います。
会議:方針決定、機密性の高い設計検討、対立の解消 メール:議事録の配布、公式な依頼、広範囲への周知 チャット・ツール:日々の進捗報告、緊急時の呼びかけ、気軽な相談 プロジェクト管理ツール:タスクの割り当て、進捗の可視化
このように、ITパスポート試験のプロジェクトマネジメント分野では、技術的な知識だけでなく、人間関係や組織管理における適切な「判断」が問われます。情報の種類と手段のバランスを意識するだけで、本番での得点につながるでしょう。
https://www.ipa.go.jp/publish/kokusai/it-passport/index.html https://it-passport-shiken.com/ https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/shiken.html