平成29年度 秋期 ITパスポート試験 公開問題 問47 解説 ITサービス管理
ITサービスマネジメントにおける問題管理の事例はどれか。
- ア 障害再発防止に向けて,アプリケーションの不具合箇所を突き止めた。 ✓ 正答
- イ ネットワーク障害によって電子メールが送信できなかったので,電話で内容を伝えた。
- ウ プリンタのトナーが切れたので,トナーの交換を行った。
- エ 利用者からの依頼を受けて,パスワードの初期化を行った。
解説
この問題は、ITIL(ITサービスマネジメントのベストプラクティス集)における「問題管理」と「インシデント管理」の違いを正しく理解しているかを確認するものです。
問題管理の目的は「根本原因の特定」と「再発防止」です。選択肢の中で、不具合の原因を突き止めて再発を防ごうとしているのはアだけです。これ以外の選択肢は、目の前のトラブルを一時的に解決する行為(インシデント管理)や、日常的な依頼対応(サービス要求管理)に該当します。
ITサービスマネジメントでは、対応の内容によって管理プロセスが明確に分かれています。
・インシデント管理 「サービスの中断や品質低下を、可能な限り速やかに回復させること」を目的とします。選択肢イの「電話で代替手段を伝える」という行動は、メールが使えないという現状をなんとかして業務を継続させるための「暫定対応」であり、まさにインシデント管理の現場で行われることの一つです。
・問題管理 「インシデントの根本原因を調査し、恒久的な解決策を導き出すこと」を目的とします。たとえその場でインシデントが解決していても、原因が分からなければ同じことが繰り返されます。選択肢アのように、プログラムのバグを特定し修正を行うような活動がこれにあたります。
・サービス要求管理 「利用者から寄せられる、パスワードのリセットやソフトウェアのインストールといった日常的な依頼に対応すること」を指します。選択肢エの「パスワードの初期化」は、何か不具合が起きたわけではなく、利用者の要求に応えるルーチンワークであるため、ここに含まれます。
・インシデントの記録管理・運用 選択肢ウの「トナー交換」のように、消耗品の補充や定期的なメンテナンスといった日常業務もサービスマネジメントの一部です。これらは障害対応ではないため、問題管理ではありません。
試験では「とりあえず直す(インシデント管理)」と「なぜ起きたのかを突き止めて二度と起きないようにする(問題管理)」という対比で出題されることが非常に多いです。問題文に「再発防止」「根本原因」「調査」といったキーワードが出てきたら、迷わず「問題管理」を選べるようにしておきましょう。
ITパスポート試験ドットコム 問題管理 ITIL 4の概要 - AXELOS公式サイト(日本語抄訳) 情報処理推進機構(IPA)ITサービスマネジメント関連用語解説