平成29年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問3 解説 情報システム整備の責任者
経営戦略との整合性を確保した全社的な情報システムの整備計画の策定を行うこ とになった。この活動の責任者として,最も適切な者はどれか。
- ア CIO ✓ 正答
- イ CTO
- ウ 基幹事業の部門長
- エ 情報システム部門の企画担当者
解説
「全社的な」情報システムの計画を「経営戦略」と整合させて策定する役割は、経営の視点とITの専門知識の両方が必要です。この役職はCIO(最高情報責任者)と定義されているため、迷わずアを選択します。
CIOとはどのような役割か
CIO(Chief Information Officer)は、日本語で「最高情報責任者」と呼ばれます。経営戦略を理解し、それを実現するためにどのような情報システムが必要かを考え、IT投資の最適化を主導する経営幹部の一人です。
今回の問題にある「全社的な情報システムの整備計画」は、単なるプログラミングやサーバーの構築といった現場作業の話ではありません。会社が目指す方向性(経営戦略)に合わせて、どこの部門に、どのようなシステムを導入し、どのようにデータを活用するかという「投資」と「戦略」を決定する重要な業務です。そのため、現場の担当者レベルではなく、経営陣の一角であるCIOが責任者として適任となります。
なぜ他の選択肢では不十分なのか
イのCTO(最高技術責任者)は、技術そのものの責任者です。最新技術の開発や製品の技術的優位性を守ることが主な役割であり、会社全体の経営戦略に基づく情報システム全体像の策定とは焦点が少し異なります。
ウの基幹事業の部門長は、特定の業務には精通していますが、全社的な視点からIT戦略を策定する権限や責任は持ちません。エの情報システム部門の企画担当者は、あくまで実務を担うスタッフ職であり、全社的な経営戦略に関与し、最終的な意思決定を行う責任者ではありません。
ITパスポートで求められる「経営とIT」の視点
この問題は、ITが単なる「道具」から「経営戦略そのもの」へ変わっている現代のビジネス環境を反映しています。ITパスポート試験において、この問いが重要視される理由は以下の通りです。
まず、経営陣とIT部門の間に壁があると、どれほど優れた技術があっても経営課題の解決にはつながりません。CIOは、その橋渡し役として「経営側の言語」と「IT側の言語」の両方を理解する必要があります。また、限られた予算の中で、どのシステムを優先すべきかという「投資対効果」の判断も求められます。
これから社会に出る、あるいはITを活用する部署で働くみなさんには、技術者であっても経営者の視点を持つことが求められます。自分の担当している作業が、会社のどのような経営戦略につながっているのかを意識することは、実務においても非常に重要なスキルとなります。