平成29年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問9 解説 提案依頼事項
新しい業務システム開発の発注に当たり,発注元企業がベンダ企業に対して求めるべき提案事項として,最も適切なものはどれか。
- ア 現行システムの問題点
- イ 新システム開発の実施体制 ✓ 正答
- ウ 新システムの狙いと要件
- エ 提案内容の評価基準
解説
この問題は、システム開発における「発注側」と「受注側(ベンダ)」の役割分担を理解しているかを問うものです。判断のポイントは、その項目を決定・提示するのがどちらの役割かという点にあります。
発注側である企業は、システムで何を実現したいかという「目的(狙い)」や「何をしてほしいか(要件)」を提示し、それに対してベンダは「どうやって実現するか(方法・体制)」を提案します。選択肢の中で、ベンダが提案すべき「手段」に当たるのは「新システム開発の実施体制」だけです。
RFP(提案依頼書)と役割分担
RFP(Request for Proposal)とは、システム開発を依頼する際に、発注元がベンダに対して「このようなシステムを作りたいので、具体的な提案書をください」と送る書類のことです。
この書類において、発注元が記述すべき項目と、ベンダに提案を求める項目は明確に分かれています。
発注元が準備すべき内容 ・現行システムの問題点(ア) ・新システムの狙いと要件(ウ) ・提案内容の評価基準(エ)
これらはシステム開発の前提条件であり、発注元のビジネス課題そのものです。これらを曖昧にしたままでは、ベンダは適切な提案を作成できません。
ベンダが提案すべき内容 ・新システム開発の実施体制(イ) ・開発手法や具体的なスケジュール ・必要なコストと人員配置 ・リスク管理や品質保証の方法
つまり、問題文にある「ベンダ企業に対して求めるべき提案事項」とは、ベンダが持つ技術力やリソースを使って「どのようにプロジェクトを完遂させるか」という具体的な計画を指します。
実務での活用
この知識は、将来皆さんがシステム開発のプロジェクトに参加する際、非常に重要になります。例えば、社内で業務改善システムを導入する場合、いきなり「いいシステムを作ってください」とベンダに丸投げしてはいけません。
まず自社の現状分析(問題点)を行い、何をシステム化したいか(要件)を整理し、自分たちで評価軸(どんな基準でベンダを選ぶか)を決める必要があります。そうして初めて、ベンダから納得感のある実施体制やスケジュールといった具体的な提案を引き出すことができます。
このように、発注側が主導権を持って要件を定義し、ベンダの専門性を引き出すための「提案依頼」の構成を学ぶことは、ITを活用したプロジェクト管理の第一歩となります。