ITパスポート試験 / 平成29年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 / 問17
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平成29年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問17 解説 意匠権の保護対象

意匠権による保護の対象として,適切なものはどれか。

  1. 幾何学的で複雑なパターンが造形美術のような,プリント基板の回路そのもの
  2. 業務用車両に目立つように描かれた,企業が提供するサービスの名称
  3. 工芸家がデザインし職人が量産できる,可愛らしい姿の土産物の張子の虎 ✓ 正答
  4. 魚のうろこのような形の重なりが美しい,山の斜面に作られた棚田の景観

解説

意匠権の保護対象を見分けるには、それが「工業的に量産できる物品のデザインか」という点に着目します。意匠法は、目に見える形や模様などが美しく、かつ工業製品として広く流通するデザインを保護するための法律です。

意匠権が保護する対象の条件は、以下の3つに整理できます。

  1. 物品であること:形のないものや、自然の風景、または単なる情報の提示などは対象外です。
  2. 視覚を通じて美感を起こさせること:デザイン性があることが求められます。
  3. 工業上の利用可能性:手作りで一点しか作れない美術品ではなく、工場などで同じものを何度も作れる(量産可能)必要があります。

今回の選択肢の中で、可愛らしい姿をした「張子の虎」は、職人が型を使って量産できる物品であり、視覚的なデザイン性も備えています。したがって、意匠権による保護対象として適切です。

一方で、他の選択肢がなぜ対象外となるのかを確認しておきましょう。

プリント基板の回路パターンは、電気的な機能を実現するためのものであり、視覚的な美しさを目的としたデザインではありません。このような機能そのものは、意匠権ではなく特許権などで検討される領域です。

企業のサービスの名称は、ビジネス上の識別標識であるため、商標権の保護対象となります。意匠権は「形や模様」を保護するものであり、「名称(文字)」は対象外です。

山の棚田の景観は、自然環境や地形そのものであり、人間が工業的に製造した「物品」ではありません。自然物や景観は、意匠法の保護範囲を超えています。

実務においてこの知識が重要なのは、自社で製品を開発する際、その権利をどのように守るべきかを判断するためです。製品の外観を模倣から守りたい場合は意匠権を、機能的な仕組みを守りたい場合は特許権を、ブランドのロゴや名称を守りたい場合は商標権を検討する必要があります。ITパスポートでは、これら知的財産権の「守るべき対象の違い」を正確に区別できることが求められています。

意匠制度の概要(特許庁) https://www.jpo.go.jp/system/design/gaiyo/seidogaiyo/ishodesin.html

知的財産権について(経済産業省 特許庁) https://www.jpo.go.jp/introduction/shokai/chizai_system.html

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