平成29年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問36 解説 ファシリティマネジメント
情報システムに関するファシリティマネジメントの目的として,適切なものはどれか。
- ア ITサービスのコストの適正化
- イ 災害時などにおける企業の事業継続
- ウ 情報資産に対する適切なセキュリティの確保
- エ 情報処理関連の設備や環境の総合的な維持 ✓ 正答
解説
ファシリティマネジメントという言葉の語源に注目してください。facility(施設・設備)とmanagement(管理)が組み合わさっており、ITシステムを動かすための建物、電源、空調といった物理的な基盤を管理することを指します。選択肢の中から「設備」や「維持」といったキーワードを探せば、正解のエを導き出せます。
ファシリティマネジメントとは、経営戦略の一環として施設とその環境を総合的に管理・活用する手法です。情報システム分野においては、単にパソコンを管理するだけでなく、サーバーを設置しているデータセンターの環境整備を指します。具体的には、停電を防ぐための自家発電装置、機器の熱暴走を防ぐ空調管理、地震対策、さらには入退室を物理的に制御する設備などが該当します。
他の選択肢が誤りである理由を整理すると、本質がより明確になります。
アはITサービスマネジメントやコスト管理の領域であり、主に予算やサービスの品質に関連します。 イは事業継続計画(BCP)の領域です。ファシリティマネジメントが「BCPの一部を支える基盤」にはなりますが、BCPという概念そのものは組織的な対応手順やバックアップ戦略などを含んだより広い枠組みです。 ウは情報セキュリティ管理の領域です。こちらは物理的な鍵だけでなく、データへのアクセス制限や暗号化といった論理的な制御も含まれます。
この問題の教育的意図は、情報システムを動かすためには論理的なソフトウェアやプログラムだけでなく、それを物理的に支える「場所と設備」が不可欠であると理解させる点にあります。どんなに優れたソフトウェアも、サーバーが停電で停止したり、空調が故障してオーバーヒートしたりすれば機能しません。データセンターやサーバー室といった物理的環境を「戦略的な資源」と捉え、効率的かつ安定的に運用する視点を持つことは、IT担当者として非常に重要です。現場では、機器の更新タイミングと電気代やメンテナンスコストを照らし合わせるなど、長期的な視点での施設運用計画にこの知識が活かされます。
公益社団法人日本ファシリティマネジメント協会 ファシリティマネジメントとは ITパスポート用語辞典 ファシリティマネジメント