平成29年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問41 解説 納入者選定の評価基準
製品やサービスの納入者を選定するために用意するものとして,適切なものはどれか。
- ア コミュニケーションマネジメント計画書
- イ テストケース
- ウ 評価基準 ✓ 正答
- エ プロジェクト憲章
解説
納入者を選定する際は、公平かつ客観的に候補を比較する必要があります。あらかじめ「何を重視して選ぶか」を決めておく評価基準が、選定プロセスの要となります。
なぜ評価基準が必要なのか
企業が外部から製品やサービスを調達する場合、候補となるベンダーが複数存在することが一般的です。すべての企業に全く同じ条件で提案を求めるのではなく、自社が最も重視するポイントを明確にしたうえで比較を行わなければ、期待通りの成果物を得られなかったり、コストが膨らんだりするリスクがあります。
この評価基準には、一般的に以下のような項目が含まれます。
・見積価格(予算に収まっているか) ・技術力・開発実績(提示された課題を解決できる能力があるか) ・納期(プロジェクトのスケジュールに間に合うか) ・サポート体制(導入後のトラブルに迅速に対応できるか) ・経営状態(倒産リスクがないか)
これらの基準をあらかじめ明文化し、各候補者の提案を点数化やランク付けすることで、担当者の主観に頼らない選定が可能になります。
ほかの選択肢が誤りである理由
プロジェクトマネジメントの現場では、調達プロセス以外にも様々なドキュメントを作成します。ほかの選択肢がどのような目的で使われるものかを確認しましょう。
アのコミュニケーションマネジメント計画書は、プロジェクトに関係する人々の間で、いつ、どのような情報を共有するかを定義した計画書です。誰に何を報告するかを決めるものであり、納入者を選ぶための指標ではありません。
イのテストケースは、プログラムやシステムが正しく動作するかを確認するための試験手順や入力データのことです。開発の後半工程で使われるものであり、ベンダーを選定するためのツールではありません。
エのプロジェクト憲章は、プロジェクトを開始する際に、目的や目標、責任者を明確にした「プロジェクトの公式な立ち上げ文書」です。プロジェクトが何を達成しようとしているかを定義するものであり、特定の納入者を選定するための細かな基準とは異なります。
ビジネス現場での活用
ITパスポート試験においてこの問題が出題される意図は、調達プロセスの流れを正しく理解しているかを確認するためです。
実務においては、RFP(提案依頼書)を送付する段階で、この評価基準をあらかじめ定めておきます。そして、ベンダーから提出された提案書を受け取った後に、この基準に照らし合わせて採点を行います。このようにプロセスを標準化することは、ベンダー選定の透明性を高め、コンプライアンス(法令順守)の観点からも非常に重要です。