平成30年度 秋期 ITパスポート試験 公開問題 問62 解説 電子証明書の秘密鍵漏えい
電子証明書を発行するときに生成した秘密鍵と公開鍵の鍵ペアのうち,秘密鍵が 漏えいした場合の対処として,適切なものはどれか。
- ア 使用していた鍵ペアによる電子証明書を再発行する。
- イ 認証局に電子証明書の失効を申請する。 ✓ 正答
- ウ 有効期限切れによる再発行時に,新しく生成した鍵ペアを使用する。
- エ 漏えいしたのは秘密鍵だけなので,電子証明書をそのまま使用する。
解説
秘密鍵の漏えいは、デジタル社会における最大級のセキュリティ事故です。この問題を解くためのポイントは、秘密鍵が漏えいした瞬間にその証明書は「信頼できないもの」と見なされるという点です。したがって、直ちに使用を停止させ、周囲にもその旨を伝えるための手続きが正解となります。
鍵ペアと電子証明書の仕組み
公開鍵暗号方式では、公開鍵と秘密鍵というペアの鍵を使います。公開鍵は誰にでも教えて良い鍵ですが、秘密鍵は本人だけが厳重に管理しなければならないものです。
電子証明書は、信頼できる第三者機関である認証局が「この公開鍵は確かに本人のものですよ」と証明するデジタルデータです。もしこの証明書に対応する秘密鍵が第三者に漏えいしてしまうと、その第三者は本人になりすまして電子署名を行ったり、暗号化された通信を解読したりすることが可能になります。
一度信頼が失墜した鍵ペアを使い続けることは極めて危険であり、漏えいしたという事実が判明した時点で、その証明書は価値を失います。
失効の手続き
秘密鍵が漏えいした場合、電子証明書を管理している認証局に対して直ちに「失効申請」を行う必要があります。認証局は申請を受けると、その証明書を失効リスト(CRL:Certificate Revocation List)に登録します。
このリストが公開されることで、その証明書を利用するシステムやWebサイトは「この証明書はもう無効である」と判断し、不正なアクセスやなりすましを防止できるようになります。この一連の流れは、クレジットカードを紛失した際にカード会社に連絡して利用停止にする手順と全く同じ考え方です。
試験における出題パターン
この問題は、情報セキュリティマネジメントの観点から頻出です。特に「秘密鍵が漏えいした際、最初に行うべきことは何か」といった文脈で問われます。
選択肢にある「再発行」や「そのまま使用」といった対応は、状況を悪化させるか無意味なものとして扱われます。特に、単に新しい鍵を作れば良いわけではなく、既存の危殆化した証明書を「確実に無効にする」ことが最優先事項である点を押さえておきましょう。現場の運用管理においても、鍵のライフサイクル管理(生成、配布、利用、廃棄・失効)は重要なテーマとなります。
- 総務省 国民のための情報セキュリティサイト(公開鍵暗号の仕組み)