平成30年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問47 解説 プロジェクトのリスク対応
プロジェクトにおけるリスクには,マイナスのリスクとプラスのリスクがある。 スケジュールに関するリスク対応策のうち,プラスのリスクへの対応策に該当する ものはどれか。
- ア インフルエンザで要員が勤務できなくならないように,インフルエンザが流行 する前にメンバ全員に予防接種を受けさせる。
- イ スケジュールを前倒しすると全体のコストを下げられるとき,プログラム作成 を並行して作業することによって全体の期間を短縮する。 ✓ 正答
- ウ 突発的な要員の離脱によるスケジュールの遅れに備えて,事前に交代要員を確 保する。
- エ 納期遅延の違約金の支払いに備えて,損害保険に加入する。
解説
この問題は「プラスのリスク(好機)」と「マイナスのリスク(脅威)」の違いを理解できているかを問うています。判断基準は、その対策が「利益を最大化するための攻めの行動か」それとも「被害を最小限に抑えるための守りの行動か」という点です。
プラスのリスクへの対応は、好機を確実にものにするための戦略(活用、共有、強化など)をとります。これに対し、マイナスのリスクへの対応は、悪い事態を避けるための戦略(回避、転嫁、軽減、受容など)をとります。
プロジェクトマネジメントにおけるリスク対応戦略
リスク対応は、リスクが及ぼす影響の性質によって大きく二つに分類されます。
マイナスのリスク(脅威)への対応策 プロジェクトの目的を達成する上で邪魔になる事象をコントロールするための考え方です。 ・回避:リスクの原因を取り除く(例:リスクの高い技術の採用を見送る) ・転嫁:第三者に責任や影響を移す(例:損害保険への加入、外注化) ・軽減:影響度や発生確率を低くする(例:予防接種、バックアップの作成) ・受容:発生した場合の損害を許容する(例:予備費を用意して事後対応する)
プラスのリスク(好機)への対応策 プロジェクトに利益をもたらす機会を最大限に引き出すための考え方です。 ・活用:好機を確実に実現する(例:期間短縮やコスト削減の機会を積極的に実行する) ・共有:好機を他者と分け合い、成果を増やす ・強化:発生確率や影響度を高める
選択肢の分析
ア:インフルエンザという脅威の影響を小さくしようとしているため「軽減」です。これはマイナスのリスクへの対応です。
イ:スケジュール前倒しという好機を、「作業を並行させる」という積極的なアクションで実現しようとしています。これは「活用」にあたり、プラスのリスクへの対応です。
ウ:要員の離脱という脅威に対して、事前に備えることで影響を減らそうとしているため「軽減」です。これはマイナスのリスクへの対応です。
エ:違約金という金銭的リスクを保険会社に引き受けてもらうため「転嫁」です。これはマイナスのリスクへの対応です。
試験での活用方法
この知識は、PMBOK(プロジェクトマネジメント知識体系)に基づいたプロジェクト管理の問題として頻出します。「リスク=悪いこと」というイメージを持ちがちですが、ITパスポート試験では「リスクにはプラスとマイナスの両面がある」という定義自体が正誤判定のポイントになります。
問題文に「好機(チャンス)」「前倒し」「コスト削減」「効率化」といった言葉が出てきたら、それはプラスのリスクに対する対応策を選ぶ問題である可能性が高いと判断してください。逆に「遅延」「故障」「損害」「事故」といった言葉があれば、マイナスのリスクへの対応策を選ぶ問題であると見分けることができます。
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