令和元年度 秋期 ITパスポート試験 問1 解説 労働者派遣法
労働者派遣法に基づき, A社がY氏をB社へ派遣することとなった。このときに 成立する関係として, 適切なものはどれか。
- ア A社とB社との間の委託関係
- イ A社とY氏との間の労働者派遣契約関係
- ウ B社とY氏との間の雇用関係
- エ B社とY氏との間の指揮命令関係 ✓ 正答
解説
派遣元、派遣先、労働者の三者の関係を整理し、現場で誰が実際に指示を出すのかという点に注目するのがこの問題を解く鍵です。労働者派遣では、給料を支払う会社(雇用主)と、実際に仕事の指示を出す会社(指揮命令者)が分かれるという特徴があります。
労働者派遣制度における三者の関係性
労働者派遣法では、以下の3つの関係が定義されています。
派遣元(A社)と派遣労働者(Y氏)の間 ここには雇用関係が成立します。Y氏はA社と雇用契約を結び、給料はA社から支払われます。福利厚生や社会保険の手続きもA社が行います。
派遣元(A社)と派遣先(B社)の間 ここには労働者派遣契約が成立します。企業同士のビジネス上の契約であり、A社がB社に労働者を派遣することを約束するものです。選択肢アにあるような委託関係ではありません。
派遣先(B社)と派遣労働者(Y氏)の間 ここには指揮命令関係が成立します。Y氏はB社の担当者から具体的な業務の指示を受けて働きます。ただし、B社とY氏の間に雇用関係はないため、B社が直接給料を支払ったり、解雇したりすることはできません。
ITパスポート試験で問われる周辺知識
労働者派遣と混同しやすい概念に「請負(うけおい)」があります。試験ではこの違いを問う問題が頻出します。
請負の場合、労働者は自分の雇い主から直接指示を受けて、発注者の場所などで作業を行います。発注者(B社に相当)が労働者(Y氏に相当)に直接指示を出すことは法律で禁止されています。もし請負契約でありながら発注者が直接指示を出している実態があれば、それは偽装請負と呼ばれ、不適切な状態とみなされます。
また、準委任契約という形態も重要です。これは事務処理などの業務を委託するもので、請負と同様に受託側の責任者が自社の社員に指示を出します。
この問題のように、誰が誰に対して指示を出す権利(指揮命令権)を持っているかを整理しておくことは、法務分野の得点源になります。以下のポイントを記憶しておきましょう。
・派遣:雇用は派遣元、指示は派遣先 ・請負:雇用も指示も請負会社(自社)
これらを区別できるようになると、業務委託やコンサルティング契約に関する他の問題にも対応できるようになります。