平成31年度 春期 ITパスポート試験 問45 解説 プロジェクトの変更管理
受託しているシステム開発プロジェクトの期間が半分を経過した時点で,委託元から開発中のシステムへの機能追加の依頼があった。プロジェクトマネージャの行動として,最も適切なものはどれか。
- 依頼を受け入れ,予算や要員を確保する。
- 期間の半分を経過した時点での変更は一般的に受け入れられないことを理由に,依頼を断る。
- コストやスケジュールなどへの影響を勘案し,変更管理の手順に従う。 ✓ 正答
- プロジェクトスコープだけに影響するので,速やかにスコープのベースラインを更新する。
解説
プロジェクトマネジメントにおいて、進行中の変更依頼に対しては「感情や直感で即答せず、客観的な影響分析を行い、定められた手続きを踏む」ことが鉄則です。この問題を解く鍵は、プロジェクトマネージャの役割が「要件を全て受け入れること」でも「拒否すること」でもなく、「プロジェクト全体(コスト、品質、納期)の最適化」にあると理解することにあります。
プロジェクトの変更管理(チェンジマネジメント)の考え方 プロジェクト開発の途中で機能追加の依頼が来た場合、それを単なる「追加作業」として引き受けると、当初計画していたスケジュールが遅延したり、予算を超過したりするリスクが生じます。プロジェクトマネージャは、以下の手順で冷静に対応する必要があります。
- 影響範囲の分析: 追加機能が具体的にどの程度の工数を増やし、どの工程に影響を与えるかを算出します。
- 関係者との調整: 分析結果に基づき、委託元に対して納期延期や予算追加の必要性を説明し、合意を形成します。
- 手順の遵守: 組織内で定められた変更管理の手順(変更依頼書の発行、変更管理委員会による承認など)に従い、決定事項を正式なものとして記録します。
なぜ他の選択肢が不適切なのか 依頼をそのまま受け入れると、リソース不足によりプロジェクトの品質が低下したり、納期を守れなくなったりする恐れがあります。逆に、単に「受け入れられない」と拒絶するのも、顧客との信頼関係を損なうため不適切です。また、ベースラインの更新は「変更が承認された後」に行うべきプロセスであり、影響分析を飛ばして速やかに更新するのは順序が誤っています。
現場での応用 この考え方は、ITパスポートだけでなく、実際のシステム開発現場でも必須のスキルです。特に「スコープクリープ」と呼ばれる現象への対策として重要です。スコープクリープとは、明確な合意や予算の追加がないまま、作業範囲が際限なく広がっていく現象を指します。これを防ぐためには、どんなに小さな変更であっても「これは当初の計画に含まれていたか?」を問い、必要に応じて今回のような変更管理プロセスを回す姿勢が、プロジェクトを成功に導くために不可欠です。
ITパスポート試験では、プロジェクトマネジメントの知識エリアとして、進捗管理や品質管理とあわせてこの「変更管理」の流れが頻出します。誰が、どのようなプロセスで決定を下すのかという権限と手続きの関係性を整理しておきましょう。
- プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOK)の概要(IPA公式サイト)
- システム開発における変更管理の重要性(エンジニア向け技術解説記事)