令和4年度 ITパスポート試験 公開問題 問51 解説 SLAの定義と当事者
問51 IT サービスマネジメントにおける SLA に関する次の記述において, a, b に当てはまる語句の組合せとして, 適切なものはどれか。 SLA は, [ a ] と [ b ] との間で交わされる合意文書である。 [ a ] が期待するサービスの目標値を定量化して合意した上で SLA に明記し, [ b ] はこれを測定・評価した上でサービスの品質を改善していく。
- ア 経営者 / システム監査人
- イ 顧客 / サービスの供給者 ✓ 正答
- ウ システム開発の発注者 / システム開発の受託者
- エ データの分析者 / データの提供者
解説
SLAは、ITサービスを提供する側と利用する側の「約束事」です。この問題は、SLAが「誰と誰の間の契約なのか」を理解しているかを問うています。ITサービスマネジメントにおいて、サービスを届ける主体(提供者)と、そのサービスを受ける主体(顧客)の間で品質基準を定めるのがSLAであるため、これに該当するイを選択します。
サービスレベル合意書(SLA: Service Level Agreement)とは
SLAは、ITサービスをどの程度の品質で提供するか、あらかじめサービス提供者と顧客の間で合意した文書です。単に「システムを動かす」だけでなく、以下のような定量的な目標値を具体的に定めます。
・可用性:システムが利用可能な時間の割合(例:99.9%以上) ・応答時間:画面の表示にかかる時間(例:3秒以内) ・障害対応時間:トラブル発生から復旧までに許容される時間(例:2時間以内)
もしこれらの目標が達成されなかった場合、ペナルティが発生するケースもあります。重要なのは、SLAが開発フェーズの契約ではなく、運用フェーズにおける「継続的なサービスの維持」を目的としている点です。
なぜ他の選択肢が不適切なのか
選択肢ウの「システム開発の発注者と受託者」は、システムを作り上げるまでの関係性(開発契約)を指しています。SLAは「完成したシステムを運用する段階」で結ばれるため、両者はフェーズが異なります。ITパスポート試験では、この「開発(作る)」と「運用(維持・管理)」の区別を問うひっかけ問題が頻出するため注意してください。
実際の活用場面
SLAが実際に使われるのは、企業のIT部門が社内の各部署に対してサービスを提供する場合や、外部のITベンダーが企業にクラウドサービスや保守サービスを提供する場合です。
提供者は、SLAの目標値を達成できるようにシステムを監視・運用します。もし測定した数値が目標を下回れば、設備の増強や運用の見直しを行い、サービスの品質を改善していきます。このように「合意した目標に対し、測定し、改善する」というPDCAのサイクルを回すことこそが、サービスマネジメントの肝となります。
・ITサービスマネジメント(ITIL)の基礎知識 - ITパスポート試験ドットコム ・SLA(サービスレベル合意書)とは - キーワード解説(アイテック) ・サービスレベル管理(SLM)とは - ITILの基礎(NTTデータ先端技術)