ITパスポート試験 / 令和6年度 ITパスポート試験 公開問題 / 問9
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令和6年度 ITパスポート試験 公開問題 問9 解説 フェルミ推定

企業の戦略立案やマーケティングなどで使用されるフェルミ推定に関する記述とし て,最も適切なものはどれか。

  1. ア 正確に算出することが極めて難しい数量に対して,把握している情報と論理的な 思考プロセスによって概数を求める手法である。 ✓ 正答
  2. イ 特定の集団と活動を共にしたり,人々の動きを観察したりすることによって,慣 習や嗜好,地域や組織を取り巻く文化を類推する手法である。
  3. ウ 入力データと出力データから,その因果関係を統計的に推定する手法である。
  4. エ 有識者のグループに繰り返し同一のアンケート調査とその結果のフィードバック を行うことによって,ある分野の将来予測に関する総意を得る手法である。

解説

正解を導くための判断基準

フェルミ推定とは「短時間で概数を導き出す手法」です。問題文から「正確な数値が出せないものに対して」「論理的な思考で」「概数を求める」というキーワードが含まれている選択肢を探せば、即座に正解(ア)にたどり着けます。他の選択肢はすべて別の調査手法を指しているため、消去法で絞り込むことも可能です。

フェルミ推定とは何か

フェルミ推定は、物理学者エンリコ・フェルミに由来する手法で、調査が困難な数値を、既知の知識(前提条件)を組み合わせて論理的に推論するスキルを指します。

例えば「日本国内にあるピアノの台数は何台か?」という問いに対し、ピアノの正確な販売台数や保有者リストを確認するのではなく、以下のように論理を組み立てて推定します。

  1. 日本の世帯数(約5,000万)を把握する
  2. ピアノの保有率を仮定する(例:20世帯に1台あると仮定)
  3. 5,000万 ÷ 20 = 250万台といった形で概算を弾き出す

このように、未知の数値を「既知の数値」と「ロジック(論理)」に分解し、短時間で答えに近づけるのがこの手法の本質です。

紛らわしい選択肢の正体

この問題で重要なのは、他の選択肢に挙げられた手法と混同しないことです。これらはすべてマーケティングや戦略立案で使われる用語ですので、セットで覚えておきましょう。

選択肢イ(エスノグラフィ) 対象者の生活環境に潜り込み、日常的な行動や文化を観察してインサイトを得る手法です。定量的な数値計算ではなく、定性的な洞察を得ることを目的とします。

選択肢ウ(回帰分析など) 変数間の因果関係を統計的なデータに基づいて分析する手法です。データがあることが前提となるため、手元にデータがない状態で概算するフェルミ推定とは異なります。

選択肢エ(デルファイ法) 複数の専門家からアンケートを繰り返し行い、回答をフィードバックすることで意見を集約させる手法です。将来の予測など、個人の推測では不確定性が高い場合に、グループの総意を形成するために使われます。

フェルミ推定がIT現場で役立つ理由

システム開発やIT戦略の現場では、正確なデータが揃うのを待っていてはビジネスチャンスを逃すことがあります。そのような場面で、「今のリソースなら、このくらいのアクセス負荷まで耐えられるはずだ」「市場規模は概ねこの程度だろう」といった仮説を即座に立てる力が必要です。

ITパスポート試験でこの知識が問われるのは、単なる計算能力ではなく、不確実な状況下でも論理的に考え、素早く意思決定を行う「ビジネス力」が求められているからです。この手法を身につけると、会議や企画書作成の場で、根拠のある概算を提示できるようになります。

参考リンク

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