令和6年度 ITパスポート試験 公開問題 問16 解説 RPAの適用業務
RPAが適用できる業務として,最も適切なものはどれか。
- ア ゲームソフトのベンダーが,ゲームソフトのプログラムを自動で改善する業務
- イ 従業員の交通費精算で,交通機関利用区間情報と領収書データから精算伝票を作成する業務 ✓ 正答
- ウ 食品加工工場で,産業用ロボットを用いて冷凍食品を自動で製造する業務
- エ 通信販売業で,膨大な顧客の購買データから顧客の購買行動に関する新たな法則を見つける業務
解説
RPAを見抜くキーワードは 定型・PC操作・デジタルデータ
RPA(Robotic Process Automation)が適用できる業務を選ぶ際のポイントは、その業務が「ルールが明確で、反復性が高く、デジタルデータを用いた事務作業であるか」という点です。今回の問題では、選択肢の中で「交通費精算」という定型的な事務作業が含まれているイが正解となります。
他の選択肢は、RPAが得意とする領域とは異なる技術や概念を指しています。
RPAの得意領域と不向きな領域
RPAは「デジタルレイバー(仮想知的労働者)」とも呼ばれ、人間がPCを使って行うキーボード入力やマウス操作をソフトウェアで代替します。以下の条件を満たす業務と非常に相性が良いです。
・ルールが明確:例外処理が少なく、手順が決まっている ・反復性が高い:毎日、毎週など同じ作業を繰り返す ・データがデジタル化されている:システム画面やファイル間でデータを移動する
逆に、以下のような業務には向いていません。
・非定型な判断が必要なもの(曖昧な判断、クリエイティブな思考) ・物理的な作業を伴うもの(物体を動かす、加工する) ・複雑な分析や機械学習を要するもの(AIが適している領域)
各選択肢の分析
ア:プログラムを自動で改善する業務 これは高度なソフトウェア開発技術やAI技術が必要な領域であり、単純な操作の繰り返しを自動化するRPAの役割ではありません。
イ:交通費精算伝票を作成する業務 利用区間と領収書というデジタルデータに基づき、あらかじめ定められたルール(運賃計算や社内規定)に従って入力を行うため、RPAが最も得意とする定型事務作業です。
ウ:産業用ロボットを用いて冷凍食品を製造する業務 これは物理的な生産ラインを自動化する「FA(Factory Automation)」です。RPAはあくまでソフトウェア上での事務作業を自動化するものであり、ハードウェアを使って物理的にモノを動かす装置とは分類が異なります。
エ:顧客データから購買行動の法則を見つける業務 これは「データマイニング」や「AI(人工知能)」が得意とする分野です。膨大なデータから法則や未知のパターンを導き出すには、高度な統計処理や学習モデルが必要であり、ルール通りに操作をこなすRPAには困難です。
教育的意図と実務での活用
ITパスポート試験において、この問題は「IT技術の適材適所」を理解しているかを問うものです。RPAを導入する際、現場では「何でも自動化できる魔法の杖」と誤解されがちですが、実際には「人がマニュアルを見ながら行っている単純作業」こそが自動化の宝庫です。
実務においては、経理の精算業務以外にも、勤怠管理システムへの入力、Webサイトからの情報収集、メール配信の自動化などに広く活用されています。RPAを正しく理解することは、企業の生産性向上を支える業務改善の第一歩となります。