令和6年度 ITパスポート試験 公開問題 問20 解説 投資の回収期間
A社では,1千万円を投資して営業支援システムを再構築することを検討している。 現状の営業支援システムの運用費が5百万円/年,再構築後の営業支援システムの運 用費が4百万円/年,再構築による新たな利益の増加が2百万円/年であるとき,この 投資の回収期間は何年か。ここで,これら以外の効果,費用などは考慮しないものと し,計算結果は小数点以下第2位を四捨五入するものとする。
- 2.5
- 3.3 ✓ 正答
- 5.0
- 10.0
解説
投資回収期間の計算手順
投資回収期間は、投資額を毎年のキャッシュフロー(利益のプラス分)で割ることで求められます。今回のケースでは以下の手順で計算します。
- 毎年のプラス効果を算出する:利益の増加分(200万円)+ 運用費の削減分(500万円 - 400万円 = 100万円)= 300万円/年
- 投資回収期間を算出する:投資額(1,000万円)÷ 毎年のプラス効果(300万円)= 3.333...年
- 指定通り小数点以下第2位を四捨五入する:3.3年
投資の正当性を判断する指標
投資回収期間法は、投資した金額を何年で回収できるかを計算する手法です。IT投資を行う際、システム導入には高額な初期費用がかかりますが、それによって業務効率が上がれば人件費が削減されたり、売上が伸びたりする効果(リターン)が生まれます。
この計算で重要なのは「単に利益が増えること」だけでなく、「既存のコストがどれだけ浮くか」という削減効果も含めて考える点です。今回の問題では、新システムに切り替えることで年間100万円の運用費が浮くため、これも投資の回収に貢献する利益の一部として計上します。
思考プロセス:利益とコスト削減の合算
問題を解く際のポイントは、投資による「プラスの側面」をすべて洗い出すことです。
- 投資額:1,000万円
- 毎年のプラス要素
- 利益の増加:200万円
- コスト削減:500万円(現行)- 400万円(新)= 100万円
- 合計:300万円
もし運用費の削減分を計算に入れ忘れると、1,000 ÷ 200 = 5.0年となり、誤った選択肢を選んでしまいます。システム投資の評価では、目に見える利益だけでなく、維持費などのコストがどう変化するかをセットで捉える癖をつけておきましょう。
実務における投資対効果の視点
ITパスポートでこの知識が問われる背景には、企業におけるIT投資の意思決定プロセスを理解させる狙いがあります。
企業活動において、経営者は常に「限られた予算をどのプロジェクトに投じるのが最も効率的か」を判断しています。例えば、「A社はIT投資に1,000万円出せるが、回収に10年かかるシステムと3年で回収できるシステム、どちらに投資すべきか?」という判断において、回収期間法は非常にシンプルで強力な指標となります。
実務ではこれ以外にも、投資したお金が将来どれだけの価値を生むかを計算する「ROI(投資利益率)」や、お金の時間的価値を考慮した「NPV(正味現在価値)」といった指標も使われます。まずはこの問題のように、基本となる回収期間の算出法をマスターし、投資による金銭的なメリットを多角的に捉える視点を養うことが大切です。